トランプ訪日で浮き彫りになった「アメリカファースト」の真実

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2017.11.8より転載

トランプ訪日で浮き彫りになった「アメリカファースト」の真実

上久保誠人:立命館大学政策科学部教授、立命館大学地域情報研究所所長 
トランプ訪日

Photo:首相官邸HPより

 ドナルド・トランプ米大統領が11月5日に初来日した。ゴルフ、銀座、4度の食事会と、まるで「成金の社長さんを接待する」かのようにご機嫌を取り、ことさらに「今ほど日米関係が緊密なことはなかった」を強調した。しかし、具体的に何か進展したかといえば、何もない。

 この連載ではトランプ大統領の「アメリカ第一主義(アメリカファースト)は変わっていないと指摘した。結局、米国は北朝鮮が米軍グアム基地や米国本土を直接攻撃できるミサイルを開発する可能性が出てきた時に、初めて北朝鮮問題に介入してきたからである(本連載第155回)。

 今回の訪日でも、大統領はひたすらアメリカファーストであった。安倍首相は、大統領が機嫌を損ねて「日本を捨てる」と言い出さないように、ひたすら歓待するしかなかったように見える。

 この連載では、日本がなぜ「奇跡」と呼ばれた高度経済成長を成し遂げて、経済大国となれたかを振り返ってきた(第149回)。それは、東西冷戦期の米国の戦略に日本が組み込まれ、「米国に守ってもらい、米国に食わせてもらった」からに他ならない。今回は、これまで断片的に何度か論じてきた「米国の戦略」を整理し、メディアが「シンゾー・ドナルド関係」とひたすら持ち上げる日米関係の「本質」を考えてみたい。
米国の戦略(1):
米国が世界の警察官になり「世界を食わせた」理由

 日本が高度経済成長を成し遂げたのは、端的にいえば、米国が日米安保条約に基づいて日本の安全保障を肩代わりし、日本の製品をどんどん購入してくれたからだった。「軽武装経済至上主義」の「吉田ドクトリン」を打ち出した吉田茂元首相は、これについて「日本は米国を番犬として飼っていると思えばいい」とまで言った。日本がしたたかに米国を利用して、先進国にのし上がったといえる。
しかし、日本は先進国になりながらも、米国にどんどん輸出をする一方で、市場を保護して米国からの輸入をブロックし続けた。これが、米国の不満となり、70-80年代には、日本は上記のトランプ氏のような発言を、米国から散々聞かされた来た歴史がある。これは日本だけの話ではない。東西冷戦期から今日に至るまで、世界中の新興国が、米国に製品を買ってもらって成長しているし、米国に守ってもらっている(第150回)。

 米国は、なぜ「世界を食わせてやってきた」のか。なぜ「世界の警察官」を務めてきたのか。今日では、それは当たり前のこととなっているので、皆忘れているようだが、そもそもは東西冷戦になり、ソ連・中国共産党の共産主義ブロックに対抗するための米国の戦略であった。

 第二次大戦後、ソ連の台頭、中華人民共和国の成立による共産主義の拡大を防ぐために、米国は地政学的な拠点にある国々と同盟関係を築こうとした。例えば、西ドイツ、フランスなど西欧、日本、韓国、トルコなどアジアが共産主義と対峙するフロントラインであり、戦略的拠点であった。まず米国は、これらの国々を同盟国とするために、「ソ連の侵略から守る」という約束をする必要があった。

 第二次大戦で荒廃した国々は、自ら国を守る軍事力を失っていた。また、米国から巨額の援助を受けることなしに、経済復興することもできなかった。ソ連からの独立を維持するには、米国から軍事的、経済的に守ってもらうことしか方法がなかった。

 こうして、米国は世界各地に米軍を展開し、同盟国の領土をソ連の軍事的脅威から防衛する「世界の警察官」になったのである。米軍は同盟国の安全保障をほぼ肩代わりし、同盟国で無制限に軍事作戦を展開する自由を得た。例えば、朝鮮戦争やベトナム戦争では、同盟国の領土内でありながら、米軍が主力となり、同盟国を従える形で、共産主義と直接戦った。

 ただ、「世界の警察官」は、同盟国を守るだけではなかった。次に米国は、米国自身と同盟国が安全に石油・ガスなど天然資源を確保するため、世界的に展開できる唯一の海軍を提供して「世界の全ての海上交通路」を防衛した。それまで同盟国は、国家の軍事力のかなりの部分を、特に公海上での商人とその貨物の護衛に割く必要があった。米国が「世界の警察官」となることで、同盟国、自国の沿岸線をパトロールする小規模な海軍を維持するだけでよくなった。

 さらに米国は同盟国に、「米国市場への自由なアクセス」を許した。第二次世界大戦で世界中の市場が荒廃した後、米国市場は世界で唯一、ある程度の規模を持ち、各国がアクセスを求めるに値する市場となっていた。米国は、同盟国を自らの貿易システムに招き、工業化と経済成長を促した。その目的は、同盟国を豊かにすることで、同盟国の国内に貧困や格差による不満が爆発し、共産主義が蔓延することを防ぐことだった。これが米国が「世界の国を食わせてやった」理由である。


米国の戦略(2):
なぜ日本と西独が「奇跡」の高度成長を成し遂げたのか

 最初に米国が接近したのが、かつての敵国だった日本と西ドイツであった。第二次世界大戦後、米国は当初、日本と西ドイツが二度と軍事大国化することを防ぐために、再工業化は行わない方針だった。その方針が変わったのは、1950年の朝鮮戦争の勃発であった。日本は、自由主義圏と共産圏によって南北に分断された朝鮮半島に近接し、アジアにおいて共産主義ブロックと対峙する前線となった。

 一方、ドイツは自由主義圏と共産圏に分断されて、西ドイツはより直接的に共産主義ブロックと向き合う最前線となった。米国は、両国を再度工業化して防衛力を強化することに方針を転換した。そして、日本とドイツは「奇跡的な高度経済成長」を成し遂げて、共産主義に対抗するフロントラインとして機能したのである。

 そもそも、両国が第二次世界大戦を始めた最大の理由は、資源と市場へのアクセスを確保するためだった。どちらも第二次世界大戦で完膚なきまでに叩きのめされたが、戦後の「戦勝国」の米国から、元々の望みをはるかに上回るものを提供された。その上、米国から自力では到達しえない完璧な安全保障を提供されたのである。これを「奇跡」と呼ばずに、他に奇跡と呼べるものがあるだろうか。
米国の戦略(3):
米国の同盟国同士の歴史的な紛争が回避できた

 米国市場への自由なアクセスは、日本、ドイツだけではなく、韓国、台湾、オセアニアの諸国、北米大陸、西ヨーロッパ、そして後には共産主義の大国である中国までもが参加した。ピーター・ゼイハンは、多くの国が米国の同盟国になることで得たメリットを以下の通り整理している。

1.フランスとドイツは、お互いに相手を警戒して武装する必要がなくなった。

2.スウェーデンやオランダなどの中規模の国家は、貿易に焦点をあてて自国の強みを活かすことに集中できるようになり、防衛には最小限の努力を割くだけでよくなった。

3.世界中の貿易路の安全が保障されたことで、さまざまな土地を占領する必要がなくなった。最古の小麦生産地であるエジプトは、過去2000年で初めて、自由に息をつけるようになった。

4.世界中に散らばるヨーロッパの植民地が解放された。東南アジア諸国連合(ASEAN)を設立し、独自の自由貿易ネットワークを形成した。

5.日本はもはや東アジア沿岸地域を搾取する必要がなくなった。アメリカの安全保障下で、韓国、台湾、シンガポールの3国が世界で最もダイナミックな経済国として台頭した。中国はその歴史上で初めて、外部の干渉のない安全な環境で国の基盤を固めることができた(ゼイハン,2016:135-7)。

 つまり、米国が築いた同盟体制とは、単に米国が同盟国を共産主義から守ったというだけではない。より重要なことは、それぞれの国が、領土の安全の確保、資源の確保、市場の確保のために、長年の歴史において「敵」となっていた隣国を警戒する必要がなくなったということだ。それらを全て、米国がやってくれたからである。


あらためて、
アメリカファーストとは何かを考える

 ここで、トランプ大統領のアメリカファーストとは何かを、あらためて考えてみたい。大統領はご存じの通り、過激な発言を繰り返してきた。例えば、同盟国・日本に対しては、

「日本から、何百万台もの車が、ひっきりなしに輸入されてくる。アメリカは、日本に何か買わせたか? 牛肉を輸出した、だが日本は買いたがらない。これは貿易不均衡だ」

「(もし中国などが日本を攻撃したらどうするかという質問に)アメリカが一歩引いても、日本は自ら防衛できるだろう。 日本は中国との戦争に勝ち続けた歴史がある。なぜ、アメリカは日本を守ってやっているのか?ご存じの通り、日米安保条約は心憎い。なぜなら、他国がアメリカを攻撃しても、日本はアメリカを助けなくてよい。なのに、他国が日本を攻撃したら、アメリカは日本を助けなければならない」

 といった調子である。

 一見荒唐無稽に聞こえるが、事の本質を突いている。大統領は、米国が「世界の警察官」を続ける意思がなく、「世界を食わせる」ことをやめると明快に言っている。これから米国は、米国自身のために軍隊とカネを使う。むしろ同盟国は、米国のために少なくともカネを出せ。これがアメリカファーストなのである。

 ここで、日本社会に広がる1つの「誤解」を解いておきたい。それは、トランプ大統領がアメリカファーストを唱えるのは、米国が弱体化したからだという誤解だ。むしろ実態は逆で、米国は「史上最強」と呼んでもいい状態だ。

 米国のアメリカファーストは、トランプ大統領の個人的な思いつきではない。前任のバラク・オバマ大統領の時代から進められてきた、米国の国家戦略の変化と見なすべきものなのである。オバマ前大統領は、2013年9月に対シリア内戦への軍事不介入声明を発表した際、「もはやアメリカは世界の警察官ではない」と宣言し、中東からの米軍撤退、将来の韓国からの米軍撤退(公表)、2020年から2026年の間に沖縄から海兵隊を含む全米軍撤退(非公式)、NATO(北大西洋条約機構)の閉鎖又は欧州中央軍への統合、中南米、アフリカ地域からの米軍撤退等々を打ち出してきた。「世界の警察官を少しずつやめていく」のは、米国内で党派を超えたコンセンサスなのだ(第145回)。

 その背景には「シェール革命」があると考える。主に米国で生産されるシェール石油・ガスによって、米国が石油の輸入国から輸出国に変わる劇的な変化が起こった。エネルギー自給を達成し、米国内で「ものづくり」が復活し、新たな雇用が生まれた。しかし、その結果として、米国は独りでやっていけるということになった。「世界の警察官」として、産油国が多数ある中東など国際社会に関わっていく必要性がなくなったのである。これが、アメリカファーストの背景にある。

トランプ訪日は「大統領を接待した」だけに終わった
日本は引き続き「超対米従属」に徹するしかない

 今回の訪日で、トランプ大統領は「どんな独裁者も、どんな政権も、どんな国も米国の決意を甘く見ないほうがよい」「私が大統領である限り、米国は圧倒的な力と資金で必ず勝利する」と発言し、北朝鮮への圧力を一段と強化する方針を示した。それは大変心強いことだが、発言の内容は、従来以上に踏み込んだものではない。

 むしろ驚かされたのは、トランプ大統領が「日本が米国からさらに軍装備品を購入すれば、安倍首相は北朝鮮のミサイルを撃ち落とすことができるだろう」と発言したことだ。安倍首相は「日本の防衛力を質的に、量的に拡充していかなければならない」と応じ、イージス艦などのミサイル防衛体制強化のために、米国からさらに装備品を購入していくことになるとの見通しを示した。

 また、トランプ大統領は、日米の企業経営者らとの会合で、日本との貿易は「公平で開かれたものではない」と強調し、「日本との慢性的な貿易不均衡を是正していかなければならない」と発言するなど、貿易赤字解消への意欲を示している。

 結局、「過去にない緊密な日米関係」をいくら強調してみたところで、トランプ大統領は「アメリカから武器を買って、日本に飛んでくるミサイルは自分で撃ち落とせ」なのである。何度でも強調するが、アメリカファーストなのである。

 今、日本ができることは「超対米従属」のみである(第149回)。米国が築いた同盟関係から最も恩恵を受けてきた日本は、同盟関係を維持する以外に、生きていく道はない。その意味で、安倍首相がトランプ大統領をまるで「成金社長を接待漬け」にするように歓待したのは、正しいと思う。

 気がついたら、米国は中国とうまく「ディール」して、米国に北朝鮮からミサイルが飛んでこないことだけを決めて、「あとはシンゾー、うまくやれ。武器は売ってやる」と言って去っていく。日本は「東洋の一小国」として孤立してしまうという、最悪の事態を想定しておくべきではないだろうか。

参考文献 :ピーター・ゼイハン(2016)『地政学で読む世界覇権2030』(東洋経済新報社)

(立命館大学政策科学部教授 上久保誠人)


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10/29のツイートまとめ

yoiko0791

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10-29 17:51

10/18のツイートまとめ

yoiko0791

https://t.co/3ElX3zz3AJ
10-18 21:11

今回の選挙は日本ファシズム化の仕上げではないのか?

今回の選挙は日本ファシズム化の仕上げではないのか?
今回の前原氏による民主党解体テロによる希望の党の成立に対する見解を桜井ジャーナルから転載します。

日本のファシズム化は1982年から米国で始められたプロジェクトの結果である。


民主党を破壊する引き金を引いた野田佳彦を幹事長にしたのにつづき、日本と中国との関係を壊す突破口を開いた前原誠司を代表に選んだ時点で民進党の命運は尽きていた。民進党のリベラル派で新党を結成するというが、真の意味でリベラルな人間がいるのだろうか。もしいるなら、こうした無様なことにはなっていなかっただろう。

本ブログでは何度も指摘してきたが、日本のファシズム化はアメリカが震源である。1982年にロナルド・レーガン大統領が出したNSDD55によって、核戦争時に地下政府を作る計画(COGプロジェクト)がスタート、88年の大統領令で対象は核戦争から「国家安全保障上の緊急事態」に変更された。この変更によって2001年9月11日の世界貿易センターや国防総省本部庁舎への攻撃でCOGが始動したと見られている。愛国者法がすぐに提出されたのは20年近い準備期間があったからだ。同時に地下政府が作られた可能性もある。

日本でも盗聴法、特定秘密保護法、安保関連法、共謀罪の創設、そして緊急事態条項が導入されようとしている。国民を監視、弾圧、戦争へ協力させる体制が整備されつつあると言えるが、その震源地はアメリカにほかならない。

アメリカが露骨な侵略戦争を始めたのは1990年代の前半から。1991年12月にソ連というライバルが消滅し、アメリカは唯一の超大国になったと認識したネオコンなど好戦派が本性を現したのである。その世界制覇プランが1992年2月に国防総省の​DPG草案​という形で書かれた。このプランはウォルフォウィッツ・ドクトリンとも呼ばれている。このドクトリンに基づき、日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれた。

その過程で好戦派の計画が頓挫しそうになったことがある。2009年9月に内閣総理大臣となった民主党の鳩山由紀夫は東アジアの平和を訴える人物で、ウォルフォウィッツ・ドクトリンに基づいて動いたいる勢力とは相容れない関係。

鳩山は小沢一郎に近かったが、その小沢に対する攻撃は2006年に始まっている。週刊現代の6月3日号に「小沢一郎の“隠し資産6億円超”を暴く」という記事が掲載され、09年11月には「市民団体」が陸山会の04年における土地購入で政治収支報告書に虚偽記載しているとして小沢の秘書3名を告発、翌年の1月に秘書は逮捕されている。また「別の市民団体」が小沢本人を政治資金規正法違反容疑で告発し、2月には秘書3人が起訴された。マスコミと検察がタッグを組み、小沢を潰しにかかったと言える。

結局、検察が「事実に反する内容の捜査報告書を作成」するなど不適切な取り調べがあったことが判明、この告発は事実上の冤罪だということが明確になったが、小沢のイメージを悪化させることには成功、今でも受けたダメージから回復できていない。鳩山は2010年6月に総理大事の座から降りた。

その後任になった菅直人は消費税の増税と法人税の減税という巨大企業を優遇する新自由主義的政策を打ち出して庶民からの支持を失い、首相就任の3カ月後には海上保安庁が尖閣諸島の付近で操業していた中国の漁船を「日中漁業協定」を無視する形で取り締まり、日本と中国との友好関係は急ピッチで崩れ始める。その協定を無視した取り締まりの責任者が前原だった。

この鳩山/小沢潰しは検察とマスコミによるクーデターだとも言えるだろうが、似たようなことが1970年代にも引き起こされている。1976年2月にアメリカ上院の多国籍企業小委員会でロッキード社による国際的な買収工作が明らかになり、この年の7月に田中角栄が受託収賄などの疑いで逮捕されたのだ。

ロッキード事件の発端はジョン・マックロイの調査だとも言われている。ガルフ石油が全世界で行っていた賄賂工作を調査していたのだが、その切っ掛けはアンゴラでの革命だと見られている。革命で西側の巨大資本は利権を失ったが、その時にガルフ石油だけが革命政権と取り引きを継続、それをアメリカの支配層は怒ったと見られている。その延長線上にロッキード事件もあるというわけだ。

このマックロイはウォール街の大物で、第2次世界大戦後、世界銀行の総裁を経てドイツの高等弁務官を務め、高等弁務官時代にはナチスの大物を守ったことでも知られている。大戦後に収監されていた元ドイツ国立銀行総裁、ヒャルマール・シャハトを助け出したのもマックロイ。シャハトの義理の息子で元ナチス高官のオットー・スコルツェニーも収監されていたが、シャハトのアドバイスに従ってアメリカと協力関係に入った。スコルツェニーは拘留される前にナチスの仲間をアルゼンチンに逃がす組織、ディ・シュピンネ(蜘蛛)を設立、自由の身になった後の1948年には同じ目的でODESSAを創設している。

日本での買収は全日空の旅客機導入に絡んでのことだとされているが、実際は次期対潜哨戒機の選定が目的だと見られてる。そうなると、本筋の政治家は田中以外の人物だということになるが、この人物は児玉誉士夫が1984年1月に急死したことで助かったようだ。

1970年代、アメリカではベトナム戦争に反対する声が高まり、72年の大統領選挙では民主党の候補者に戦争反対を主張するジョージ・マクガバンが選ばれている。これは支配層の内部に衝撃を与えた。すぐ、民主党の内部に反マクガバン派が結成されるが、その中心になったのはヘンリー・ジャクソン上院議員。同議員のオフィスには、ポール・ウォルフォウィッツなど後にネオコンと呼ばれる人々が送り込まれ、訓練を受けていた。
ネオコンのゆりかご
1972年の大統領選jpeg
民主党内部の反乱だけでなく、メディアからも攻撃されたマクガバンは惨敗、大統領選挙で勝ったリチャード・ニクソンはウォーターゲート事件で失脚、副大統領から昇格したジェラルド・フォード大統領の時(1974年〜77年)にデタント派は粛清されてネオコンが表舞台に出てきた。

支配システムを維持するために中国やロシアを屈服させようとしているネオコンに服従する日本

桜井ジャ―ナルより転載


支配システムを維持するために中国やロシアを屈服させようとしているネオコンに服従する日本

明治以降、日本の「エリート」はイギリスやアメリカの支配層に従属することで国内における地位を維持し、富を蓄積してきた。一種のオリガルヒだ。現在、アメリカで最も力を持っている勢力は1970年代の半ばに台頭したネオコンで、金融資本や戦争ビジネス、国外ではイスラエルと深く結びついている。

イギリス、アメリカ、イスラエルには有名な情報機関があり、その内部には破壊工作(テロ)部門が存在している。中でもイギリスのMI6(SIS)、CIA、モサドが有名。イギリスやアメリカの場合、こうした情報機関を創設し、動かしてきたのは金融資本だ。例えば、CIAの前身であるOSSの長官を務めたウィリアム・ドノバン、OSS幹部で大戦後はCIAのドンになったアレン・ダレス、ダレスの側近で破壊工作部門を指揮したフランク・ウィズナーなど幹部にはウォール街の弁護士が少なくない。後にMI6へ吸収されるイギリスの破壊工作機関SOEの中心的な存在だったチャールズ・ハンブロは銀行家の一族。CIA長官になったジョージ・H・W・ブッシュ(エール大学在学中にCIAからリクルートされた可能性が高い)の父親や祖父はウォール街の大物、ダレスの側近でCIA長官になったリチャード・ヘルムズの祖父、ゲーツ・マクガラーは国際決済銀行の頭取を務めていた。

1932年のアメリカ大統領選挙でニューディール派を率いるフランクリン・ルーズベルトが当選すると、JPモルガンをはじめとするウォール街の金融機関がファシズム体制の樹立を目指すクーデターを計画したとスメドリー・バトラー少将らが議会で証言している。その当時の日本はJPモルガンの強い影響下にあり、その巨大金融機関と最も近い関係にあったと言われている人物が井上準之助だ。

米英の金融機関を中心とする支配システムは戦後も続くが、1970年頃には立ち行かなくなる。そして1971年8月、リチャード・ニクソン大統領は金とドルとの交換を停止すると発表した。この後、アメリカはドルを基軸通貨として維持するためにサウジアラビアなど産油国に話をつけ、石油取引の決済をドルに限らせた。産油国に蓄積したドルを回収するためにアメリカの財務省証券や高額兵器を買わせ、アメリカは産油国の支配層に対し、国の防衛し、支配者の地位や収入を保証した。これがペトロダラーの仕組み。

さらに、金融に関する規制を大幅に緩和させて投機市場を育成、ドルを吸収させるシステムも整備した。これにより、現実世界のハイパーインフレを投機市場のバブルへ転換させることに成功、そのバブルを支配層の富に見せかけている。

詐欺にような仕組みでアメリカの支配システムは維持されているのだが、ドルが基軸通貨でなくなるとその幻影が消えてしまう。金銀財宝だと思っていたものが単なる枯れ葉に過ぎないということが知られたなら、アメリカの支配システムは崩壊する。ドルからの決別しようとしたイラクのサダム・フセイン体制やリビアのムアンマル・アル・カダフィ体制が倒され、フセインやカダフィが殺されたのを偶然だと考えてはならない。そして今、イラクやリビアより厄介な国がドル離れを進めている。その国とは中国やロシアで、両国に追随する動きも見られる。

朝鮮半島の軍事的な緊張はアメリカの中国を締め上げるために好都合。アメリカはイスラエルやサウジアラビアを中心とする国々と手を組み、アル・カイダ系武装集団やダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)を使ってシリアを侵略、体制を転覆させようとしたが、これはロシアに阻止された。そこでクルドを前面に出してきたのが現在の状況だ。

ネオコンは自分たちの支配システムを維持するため、ロシアや中国を屈服させようと必死になっている。昨年の大統領選挙でドナルド・トランプはそうした政策に反対していたが、大統領就任から間もない段階でネオコンに屈してしまった。そのネオコンに従属しているのが日本。つまり、日本は中国やロシアとの戦争に協力させられている。シリアではアメリカがロシア軍を直接、攻撃し始めた。安倍晋三政権の衆議院解散はこうしたことが背景にある
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