ロシアと中国間の金取引 - ドル離れに向けて前進?

マスコミに載らない海外記事 2017/09/17より転載

ロシアと中国間の金取引 - ドル離れに向けて前進?

スプートニク、スカイプ・インタビュー書き起こし、2017年9月6日
ピーター・ケーニッヒとスプートニク
Global Research
2017年9月7日

ロシア最大の銀行スベルバンクは、2018年に中国への金供給を10-15トンまで増やす計画だと、スベルバンクCIB銀行投資部門長がスプートニクに語った。

“7月、スイスにある我々の子会社銀行が、上海株式市場で金取引を開始した。試験的取り引きで、200キロ[440ポンド]の金の延べ棒を中国金融機関に提供した。今年、我々は更に約3-5トンの金を中国に供給する予定だ。来年、中国への供給を、10-15トンに増やす予定だ。たぶんこの数値も超えるだろう”とウラジオストックでの第三回東方経済フォーラム(EEF)に先立ち、イーゴリ・ブランツェフが述べた。

経済評論家ピーター・ケーニッヒは、これらの措置の重要性と、エネルギーと通貨市場に対してありそうな影響に注目している。ピーター・ケーニッヒはGlobal Researchの常連寄稿者。

スプートニク: 中国に対する金供給増加というスベルバンク計画の背後に一体何がありそうなのか、ご説明いただけますか?

ピーター・ケーニッヒ: これはロシアと中国の間の経済・貿易協定の延長に過ぎません。最初のそうした公式取り引きは、2014年の約250億ドル相当、というか1500億元の通貨スワップ協定でした。

両国の通貨、ルーブルも元も、100%金の裏付けがあることを忘れないように。実際、ルーブルは、約二倍の金の裏付けがあります。

中国・ロシア経済協力も貿易協定も両国通貨も、金で裏付けられているのは、より大規模な既にかなり進んでいる両国経済のドル離れ計画の一環です。言い換えれば、ロシアと中国や上海協力機構(SCO)全体もアメリカ・ドル覇権から急速に抜け出しつつあります。

現実を見つめましょう。欧米通貨制度丸ごと、基本的に詐欺です。民間で作り、民間が所有している、国際決済制度丸ごと、完全な民間組織である連邦準備制度理事会と、BIS(スイスのバーゼルにある国際決済銀行 - 中央銀行の中央銀行とも呼ばれる)に支配されています。あらゆる国際送金や支払いは、ウオール街の銀行を経由しなければなりません。これがワシントンの命令通りに振る舞わない国々をアメリカが“制裁”できる唯一の理由です。これは違法で、いかなる国際法にも対抗できないはずのものです。

ところが国際裁判所もワシントンに支配されているので、アメリカが世界中における犯罪的経済活動の責任を問われる可能性はありません。少なくとも今の所は。少なくとも、欧米のドルを基本とする通貨制度が世界市場の支配権を持っている限りは。だが、これも急速に変わる可能性があります。中国とロシアは、欧米経済からの完全独立に向けて急速に動いています。

厦門で終わったばかりのBRICSサミットは、諸国間や他のSCO諸国との経済協力強化が、欧米の通貨覇権にとっての更なる打撃になるという他の明白な前兆も示しています。

今やSCOとBRICS諸国は、世界の人口の約半分を占め、世界のGDPの三分の一を支配しています。彼らは生存のために西欧を必要としてはいません。その逆です。彼らはこの詐欺的なドルを基本とする‘独占’を容易に打ち破ることが可能です。しかしBRICSやSCOに参加したいであろう、あらゆる新興諸国の経済は、依然相当程度アメリカ-ドルに依存しているので、慎重かつ徐々に行わねばなりません。こうした国々の準備は、依然ほとんどドル建てです。そして、もし欧米のシステムが急速に崩壊すれば、そうした国々は大損することになるでしょう。

スプートニク: 中国の積極的な金準備増大の理由は一体何でしょう?

PK: これは彼らの通貨を守るための一時的な措置かも知れないと思います。特にワシントンによる劇的な土壇場の“ドル救済”行動に対する中国とロシアについて言っているのですが。

例えば、土壇場の抵抗として、連邦準備制度理事会あるいはアメリカ財務省が、IMFにある種の‘金本位制’に回帰するよう指示する可能性があると思います。これは、ドルの大幅切り下げのようなものとなり、金準備や他の金兌換通貨を保有していないあらゆる国々は、結局、膨大なアメリカ・ドル債務を支払わされる羽目になり、再び新たなドル依存の奴隷になります。

金準備を増すことで、ロシアと中国は守られます。また中国とロシアは世界最大の産金国で、年間金生産(2016年は、3,100トン)のほぼ四分の一を占めており、国際金価格決定の上で効果があるでしょう。

現在の金の問題は、金が完全に欧米の通貨制度に組み込まれていることで、国際市場での金価格はアメリカ・ドル建てです。

中長期的に、金は通貨制度の有効な指標や代替ではないと考えています。再三再四見ている通り、金価格は攻撃されやすく、操作され得るので、金は法定不換紙幣より僅かにましに過ぎません。

例えば8月25日、不可解な200万オンスの金取引をブルームバーグが報じた。記事にはこうある“連邦準備金制度理事会のジャネット・イエレン議長が、ワイオミング州ジャクソンホールでの政策決定者たちの集会で講演する約20分前、わずか一分の間に、200万オンス以上にあたる金先物契約が取り引きされました。

金のボラティリティー(60日)が、2005年以来の低水準をつけていた後に、このエピソードは市場に衝撃を与えました。ワシントンにおける政治的不和、アメリカ金利上昇に関する懸念や、アメリカと北朝鮮との緊張のさなかでさえ、金は抑制的モードでした。”

この金価格の明らかな操作が、ロシアと中国間の金取引の増加と何か関係があるのかどうか疑いたくもなる。

スプートニク: 今、まもなく中国が、元建て、金兌換の原油先物契約を始めるものと予想されています。この構想はグローバル石油ゲームのルールをどのように変え得るでしょう? この画期的移行がどれほど早く実現するとお考えですか? この構想で一体誰が恩恵をうけるのでしょう?

PK: あらゆることを変えるでしょう。既にもう、ここ三年か五年 - 中国やロシアやSCOの他の加盟国はもはや炭化水素をアメリカ・ドルでは取り引きしておらず、自国通貨や金で取り引きしています。

元と金による石油先物契約は‘石油取引所’にほぼ相当し - 元と金による炭化水素取引所、全ての産油国や貿易業者が、炭化水素を非ドル建て契約で取り引きできるのです。

これはアメリカ・ドル覇権にとって大打撃になります。アメリカ・ドルが世界中で覇権的性格を維持している主要な理由の一つは、1970年代初期のアメリカとサウジアラビア間の成文化されていない合意によって、OPEC議長のサウジアラビアは、石油とガスが必ずアメリカ・ドルでのみ取り引きされるようにすることになっていました。引き替えに、サウジアラビアは“アメリカの保護”を受け、そこから中東における戦争が指揮され、遂行される多数の米軍基地を擁しています。

この成文化していない全く違法なルールから離脱しようとした人々は大変な代償を払わざるを得ませんでした。例えば、サダム・フセインは、2000年に十年間にわたる経済制裁体制が終わった際、イラクの石油を、ドルではなく、ユーロで取り引きすると発表しました。彼に何が起きたか我々は知っています。同様な考えをしていたカダフィがどうなったかも我々は知っています。またイランは、2007年に、あらゆる炭化水素がアメリカ・ドル以外の通貨で取り引きできるテヘラン石油取引所を発表すると、突然、核兵器開発計画を持っているという非難に直面することになりました。

このアメリカが押しつけた全く違法な‘ルール’で、世界がエネルギー代金を支払うためにドルを必要としているがゆえに、アメリカ財務省が見境なくドルを印刷するのが可能になっているのです。

無限のアメリカ・ドル印刷のもう一つの理由は、1971年にニクソン政権が金本位制を放棄し、ドルが事実上の世界準備通貨になったためです。この詐欺行為も終わるべき頃合いです。中国とロシアが代替案を提示しているのです。

スプートニク: 原油先物契約を開始するという中国の決定で、元で取り引きすることで、ロシアなどの輸出国が、アメリカ経済制裁を回避することを可能にすると専門家たちは考えています。元建て金契約はロシアにとってどのような意味があるとお考えですか?

PK: 5年から10年ほど前までは、大半の国際貿易契約はアメリカ・ドル建てでした、アメリカが関与するしないにかかわらず。これも成文化されていない、WTOが押しつけたルールです。これはもはや当てはまりません。

それゆえドルを基本とする欧米通貨制度から離脱し、そのかわりに元やルーブルや金や他の国の通貨で貿易をすれば‘経済制裁’が全く無効になります。ロシアや中国や多くのSCO加盟国が既に、アメリカ-ドル以外の通貨建て契約で貿易をしているので、既にほとんどそうなっています。

欧米のドルを基本とする通貨制度は、ドル以外の国際貿易契約によって、徐々に権力の座から降ろされ、解体されるのです。

スプートニク: こうした展開は、世界準備通貨としてのドルにどのように影響するでしょう? ドル覇権に対して一体どのような影響をおよぼすでしょうか?

PK: 金を含む、アメリカ・ドル以外の通貨で取り引きすることによって、ドルに対する世界需要は急激に減少し、世界準備通貨としてのドルの重要性も減少します。

約20年前には、あらゆる準備の約90%は、アメリカ・ドル建て資産でし。現在、この数値は60%以下で、減少し続けています。ドル建て準備が50%以下に落ちれば、世界的な準備通貨としてのドル放棄は急速に進む可能性があります。その時に、ドル覇権を救う為のワシントンによる土壇場の抵抗が、ドル準備を抱えている国々を犠牲にして、新たな金本位制という形で出現する可能性があります。

現在の、そして少なくとも過去100年間の欧米経済は、詐欺的な負債に依存した民間の、操作された通貨制度、法定不換紙幣に基づいています。現実には、通貨制度を作り、支えるのは、国家や地域の経済であるべきなのに。

予見しうる将来、通貨制度を裏付けるのは、金や他の鉱物ではなく、経済そのものだろうと予想させて頂きましょう。通貨制度を規定するのは、国家や国家連合の強さ、社会経済です。経済の強さは、単なるGDPを遥かに超えた諸指標によって規定されるでしょう。そうした指標には、教育や医療制度などの社会的価値観や、社会が環境や天然資源や紛争解決にいかに対処するかなどの行動上の価値観が含まれます。

これが、中国とロシアの平和の経済に基づく新たな東方経済が、世界に対して、代替案として提示しているものだと私は考えます。

ピーター・ケーニッヒは経済学者で、地政学専門家。彼は元世界銀行職員で、世界中で、環境と水資源について広範囲に働いた。アメリカ、ヨーロッパや南米の大学で講義をしている。彼は、Global Research、ICH、RT、Sputnik、PressTV、The 4th Media (中国)、TeleSur、The Vineyard of The Saker Blogや他のインターネット・サイトに良く寄稿している。彼は事実と、世界銀行での世界中での30年間という経験に基づいたフィクションの「Implosion - An Economic Thriller about War、Environmental Destruction and Corporate Greed」の著者でもある。彼は「The World Order and Revolution! - Essays from the Resistance」の共著者でもある。

記事原文のurl:http://www.globalresearch.ca/gold-trade-between-russia-and-china-a-step-closer-towards-de-dollarization/5607965
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なぜ今原油価格の下落が続くのか?

なぜ今原油価格の下落が続くのか?いろいろな意見があるが、原油相場と中国の世界工場化は
紙の価値を実物に変換する現代の錬金術の両輪で世界を支配する
プロトコルツールではないのかと考察できるのではないか?

2016.01.23 桜井ジャーナルより転載
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原油相場の下落で露国より米国やサウジが窮地に陥り、中国はアヘン戦争から続く侵略への反攻へ


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 原油相場の下落が続いている。WTI原油の場合、2014年6月には1バーレルあたり110ドル近かった価格が年末までに大きく値下がりし、年明け直後に50ドルを切り、今年1月15日には30ドルを割り込んだ。2014年9月11日にアメリカのジョン・ケリー国務長官とサウジアラビアのアブドラ国王が紅海の近くで会談、それから加速度的に下げ足を速めたことから原油相場を引き下げる謀議があったとも噂されている。

 相場引下げの目的はロシアにダメージを与えることにあったと言われた。リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制をNATOとアル・カイダ系武装集団LIFGがクーデターで倒した後、ロシアは体制転覆プロジェクトを阻止するため、積極的に動き始める。その国のあり方はその国の国民が決めるべきことだという主張だ。その結果、シリア、イラン、ウクライナなどでネオコン/シオニストをはじめとするアメリカの好戦派は思い通りにことを運べなくなる。

 アメリカの好戦派が最終的に狙っているターゲット国は中国とロシアではあるが、シリアやウクライナを制圧する前にロシアを揺さぶろうとして同国が大きな収入源にしている石油の相場を引き下げようとしたと見られている。

 ラテン・アメリカではアメリカから自立する動きがあるが、その原動力になってきたのはベネズエラの石油。そのベネズエラでは相場の下落が大きな問題になっている。昨年のインフレ率は275%、今年は720%になると予測され、経済が破綻する恐れがある。その影響はBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)へも波及するだろう。

 それだけでなく、相場下落を仕掛けたと言われているアメリカとサウジアラビアで経済が揺らぐ事態になっている。アメリカでは金利がまだゼロに近いというものの、それでもシェール・ガス/オイル業界がコスト割れで春には破綻する企業が続出する恐れが出てきた。巨大石油資本による吸収が進むかもしれないが、金融機関への悪影響は避けられないだろう。

 何度も書いているように、アメリカは基軸通貨を発行できるという特権で生きながらえてきた国で、それを支える仕組みのひとつがペトロダラー。流通するドルを産油国が回収して財務省証券や高額兵器という形で固定、投機市場へ資金を流し込んでハイパーインフレをバブルに変換させるということもしてきた。

 その中心的な存在であるサウジアラビアが石油相場の下落とイエメン侵略による戦費負担の増加で厳しい状況になっている。IMFによると、同国の2016年における財政赤字は19.4%、5年以内に金融資産は底をつくと予測しているようだ。サウジアラビアの現体制が崩壊し、民主化されたならアメリカのドルが基軸通貨の地位から陥落する可能性が高まり、支配システムは大きく揺らぐ。

 そうした中、ロシアはこうした国々ほどにはダメージを受けていないようだ。ロシアの通貨ルーブルも同時に急落したため、ルーブルで決済すると問題はないということになってしまう。ロシアの石油生産コストも不明な点がある。しかも、ロシアには中国という強力な同盟国が存在する。

 その中国はAIIB(アジアインフラ投資銀行)や新開発銀行(NDB)を創設するだけでなく「一帯一路(シルク・ロード経済ベルトと21世紀海のシルク・ロード)」を推進、米英が支配する経済システムに対抗しようとしている。国内経済の育成をないがしろにしているという意見もあるようだが、米英の金融界が支配する体制から脱却することなしに真の独立はないことも確かだ。アヘン戦争以降、米英の侵略と戦ってきた中国としては、反攻の時がきたと考えているかもしれない。

紙の価値をモノの価値に変換する魔術

中国の経済発展は米中の談合による紙の価値をモノの価値に変換する魔術の結果
以下2016年1月13日   田中 宇
より転載


ドルの魔力が解けてきた
2016年1月13日   田中 宇


 今年に入り、金融市場の実体経済の両方が、世界的に悪化の傾向を加速している。先進諸国の雇用や経済成長(GDP)などの統計は、当局による粉飾の疑いがあり、世界不況の兆候が隠されているが、海運や鉄道貨物などの物流からは、実体経済が世界規模で不況に突入していることがうかがえる。国際海運価格の動向を示すバルチックドライ指標は、史上最低を更新し続けている。貨物船の世界的な動きを示す「VesselFinder.com」などを見ても、太平洋や大西洋で船の動きがないことがわかる。米国の鉄道貨物の輸送量も昨年比5%の減少だ。 ("Nothing Is Moving," Baltic Dry Crashes As Insiders Warn "Commerce Has Come To A Halt") (VesselFinder.com) (Bank of America: Rail Traffic Is Saying Something Worrying About the U.S. Economy) (ひどくなる経済粉飾)

 昨年は、いくら実体経済が悪くても、米日欧の中央銀行が続けているテコ入れ策(QEなど)によって、先進諸国の株価が実体経済の悪さを無視して上昇してきた。だが今年に入り、実体経済の悪さによって株価が下がると、翌日には中央銀行のテコ入れで株が反騰する乱高下の状態になっている。中央銀行のテコ入れ策の効力が薄れていることがうかがえる。 (China, Oil, & Markets: It's All One Story) (Derailed? What Rail Traffic Tells Us About The U.S. Economy)

 最近、世界で最も株価の急落が激しいのは中国だ。世界経済の悪化は中国のせいだと、中国を敵視したがるマスコミが騒いでいる。だが、昨年3月まで米連銀(FRB)の一部アトランタ連銀の総裁をしていたリチャード・フィッシャーは先日、CNBCのインタビューで「市場を不安定にしている元凶は、中国でない。米連銀だ」「私もその一員だった米連銀は、これまでさんざん相場を上昇させてきたが、今やその後始末に窮している」「連銀は(市場を動かせる)巨大な兵器を持っているが、その兵器は、もう弾が残っていない」と述べている。 ("We Frontloaded A Tremendous Market Rally" Former Fed President Admits, Warns "No Ammo Left")

 米連銀の元幹部が、自分たちがバブルを膨張させすぎてもう打つ手がないことを、こんなに赤裸々に認めたことはこれまでなかった。金融マスコミの歪曲報道システムの外側にいる分析者たちが以前から語っていた「連銀や日銀はバブルを扇動しているが、いずれ弾切れになる」という分析が、今や連銀自身の認めるところとなっている。 (◆ドル延命のため世界経済を潰す米国) (Global Central Banks Are Facing a Crisis Larger Than 2008... And With Little to No Fire Power Left!)

 中国と米国は昨年初めまで、談合して世界経済のバブルを膨張させてきた。米国が債券金融システムを膨張させ、中国勢はその資金を中国のインフラや製造業の設備にどんどん注ぎ込んでいた。米国勢が作った「紙の価値」を中国勢が「モノの価値」に転換し、金融だけでなく実体経済が世界的に成長する状態を作り出していた。中国はずっと過剰投資だったが、もともとの資金が無尽蔵の米国製の「紙」だったので、過剰が続いても破綻しなかった。 (The China Syndrome: The Coming Global Financial Meltdown) (2016 Is An Easy Year To Predict)  だが、この米中の談合の構図は昨夏、中国株の暴落を皮切りに、中国の過剰投資状態が崩壊したことによって終わった。米金融界に食わせてもらっているマスコミや分析者は「中国は崩壊したが米国は大丈夫だ」と言っているが、実体経済の後ろ盾を失った「紙」の価値は、紙でしかないバブル性がしだいに露呈し、中央銀行のテコ入れ策に頼る度合いが強まった。しかし、まさにその傾向が強まった昨年秋、米連銀が利上げに動き、日欧の中央銀行もこれ以上QEを加速できない上限に達し、中央銀行群によるテコ入れ策は限界にきている。これがフィッシャーの言うところの「弾切れ」である。「紙」を巨額の価値に変身させるドルの魔力が、しだいに弱まっている。 (SOMETHING BIG IS COMING… THE BANKS HAVE NEVER DONE THIS BEFORE) (◆構造転換としての中国の経済減速)
 FT紙も1月12日の記事で、米MITのシラー教授の指数分析をふまえて「米国の金融相場は、1930年代や2000年のバブル崩壊の直前よりもさらにひどいバブル膨張の状態になっている」と書いている。 (What market turbulence is telling us)
 金融崩壊を引き起こすもう一つの要素は原油安だ。原油の国際価格(北海ブレント)は昨年から下落を続け、1バレル=30ドルを割るのが時間の問題だ。昨年初め「年末には1バレル25ドルになる」と、1バレル50ドルだった当時の常識からすると非常に大胆な予測を発して嘲笑されていたが、今や誰よりも予測が当たっている英スタンダードチャータード銀行の分析者が、こんどは「1バレル10ドルまで下がる」と予測している。1バレル20ドルまでは下がる確率がかなり高い。 (Forget $20 Oil: StanChart Says "Prices Could Fall As Low As $10 A Barrel") (Tumbling oil trades below $30 a barrel for first time in 12 years)

 原油安は、サウジアラビアの王室による、米国のシェール石油産業を潰して世界の原油市場の支配権を米国からサウジに引き戻す戦略によって引き起こされている。激しい原油安によって、サウジ政府自身が財政難に陥っているが、王室はこのほど、国営石油会社サウジ・アラムコの株式の一部を上場することを決めた。アラムコは総資産10兆ドルといわれる世界最大の石油会社だ。上場するのはアラムコのうち国際部門の5000億ドル程度だけと推定されているが、それでもアップルの時価総額(5500億ドル)と並ぶ世界最大級になり、原油安によるサウジの財政赤字の2年分に相当する。 (Banks scramble for a piece of Saudi Aramco IPO) (米サウジ戦争としての原油安の長期化)

 サウジ王政は、アラムコの株式上場で財政赤字が補填され、あと1-2年は米シェール産業との原油安の我慢比べを続けられるようになった。米シェール産業はすでに大赤字だが、ジャンク債市場の大口の発行者であるシェール産業が連鎖破綻すると社債市場全体のバブル崩壊を引き起こすので、米金融界は無理をしてシェール産業に運転資金を貸してきた。シェール産業は意外に長く我慢比べに耐えている。しかし、アラムコ上場で財政赤字を補填できるサウジ王政は、まだまだ原油安を続ける構えで、それが年初来のさらなる原油相場の下落となってあらわれている。 (As The Saudi Economy Implodes, A Fascinating Solution Emerges: The Aramco IPO) (2015年の予測)

 このままの状態が続くと、来年夏までに、米国の石油会社の3割が倒産の危機に瀕すると、ウォールストリートジャーナル(WSJ)が書いている。WSJは、原油安が来年までずっと続くと予測している。同様にCNBCは、アナリストの分析を引用し、米国のシェール産業の半分が倒産し、サウジが今後2年かけてシェール産業潰しを成功させた後、原油相場が1バレル60ドルぐらいまで回復すると予測している。 (Oil Plunge Sparks Bankruptcy Concerns) (Half of US Shale drillers may go bankrupt: Oppenheimer's Gheit)

 米国で、シェール産業の半分とか、石油業界の3割が破綻する事態になったら、米国の社債市場は、リーマン危機並みかそれ以上の激しさで崩壊する。株も債券もバブル崩壊する。すでに、石油ガス産業の危機拡大によってジャンク債市場の全体が悪化し、米国で借金体質の企業のリスクの上昇に拍車がかかっているとS&Pが指摘している。 (S&P says corporate credit conditions worsening at fastest pace since crisis)

 中国を筆頭とする実体経済の悪化、米シェール産業の行き詰まり、中央銀行群の金融テコ入れ策の弾切れなど、いくつもの危険な動きが激化している。米国など先進諸国の株や債券がいつ不可逆的に暴落しても不思議でない。英国のロイヤルスコットランド銀行は最近、顧客に対し「手持ちの株や社債を早く売却した方が良い。パニック売りの状態になってからでは遅い」と忠告していると、英テレグラフ紙が報じている。モルガンスタンレーやバンカメも、似たような警告を発している。 (RBS cries 'sell everything' as deflationary crisis nears) ("Panic Is Building" BofA Admits; Asks "How Bad Could This Get?")

 株や社債市場が崩壊していくと、最初はすべての資金がリスクに非常に敏感になり、低リスクな米国債だけが上昇するだろう。だが、米連銀など先進諸国の中央銀行群に打つ手がないとわかると、金地金など「紙」でない資産に資金が集まり、中央銀行に対する信頼も失墜していく。この崩壊期は、出口が見えるまでに何年もかかりそうだ。今年が、その崩壊期の始まりになる可能性が、しだいに高まっている。 (During the Next Crisis, Central Banking Itself Will Fail)





「国際金融資本」“金融ユダヤ人”は「負債・損失の帳消し」を企んでいる。

るいネットより転載

「国際金融資本」“金融ユダヤ人”は「負債・損失の帳消し」を企んでいる。

現在はサブプライムローン破綻・リーマンショックに起因する金融危機の只中にあります。
ですが金融危機自体は以前にも何度か起こっています。

また金融危機が起こりそうな時もありました。その場合は、「国際金融資本」“金融ユダヤ人”どもが謀略をめぐらして、金融危機を誤魔化したのです。
その金融危機誤魔化しの一例が、「ブレディ債」です。

ブレディ債とは何か?

起源は1980年代後半のブラジル危機・アルゼンチン危機にまでさかのぼります。
アメリカの「国際金融資本」“金融ユダヤ人”ども(NYのウォール街に居を構える金融企業を想起してください)はブラジルやアルゼンチンに投融資していたのですが、これらの国が国家デフォルトに陥りました。このままでは「国際金融資本」“金融ユダヤ人”どもは大損を被ってしまいます。「国際金融資本」“金融ユダヤ人”どもは損を被るのが何より嫌いですから、なんとかしてくれと最初、IMFに泣きつきました(他人には「自己責任」「自己判断によるリスクテイク」とか偉そうなことを言っていますが、いざとなると他人に下駄もお鉢も投げつけて責任を放擲するのが「国際金融資本」“金融ユダヤ人”どもです)。しかしIMFは民間企業の手助けはできないことになっていたので、今度はアメリカ財務省に泣きついたのです。このときのアメリカ連邦政府財務長官がブレディと言います。このときに実行したのが、「ポンカスと化した債権の証券化およびその証券の販売」でした。

つまり「国際金融資本」“金融ユダヤ人”どもが有している「ブラジルやアルゼンチン向けの債権」という権利をアメリカ財務省に買い取らせ、これを細分化・証券化して、一般投資家に販売することで、「国際金融資本」“金融ユダヤ人”どもは債権額相当を実質的に回収することができ、また返済不能による資金ショートも“取り敢えず”免れ、そのリスクを細分化して不特定多数の一般投資家に付け替えたのです。

このときにおいて、赤字国の債務はある程度カットされたようですが、一般投資家にしてみれば実はポンカスの債券を売りつけられたわけです。

しかし債券は販売すればそれで終わり、ではありません。債券には必ず「満期」というものが到来します。満期が来たら債券額面相当額を購入者に返済しなくてはなりません(だから先ほど“取り敢えず”と書いたのです)。

このブレディ債の満期、なんと2001年9月12日。償還所要額は1,200億ドル。

そしてこのブレディ債は、カンター・フィッツジェラルド証券という証券会社が幹事となって販売していました。販売の仲介なんですが、それだけに全ての情報がカンター社には揃うことになります。そして、このカンター社が入居していたのは、NYのWTCビルでした。そして2001年9月11日、「911テロ」でこのカンター社は会社もろとも「蒸発」しました。当然、債券に関する情報は全部消えました。こうなれば、償還もクソもあったもんじゃありません。そしてこれこそが「国際金融資本」“金融ユダヤ人”どもが望んでいた事態でした。

また、WTCビルの地下には1,200億ドル相当の金塊が保管されていましたが、2001年9月11日の朝までに全部運びだされて、それ以後、行方は不明です。大方、NY連銀の地下金庫にでも隠されているのでしょう。NY連銀のオーナーは「国際金融資本」“金融ユダヤ人”どもです。

つまり「国際金融資本」“金融ユダヤ人”どもは、自分たちの負債を帳消しにするために、「911テロ」の内部犯行を企図し、実行に移したわけです。その結果、数多くの無辜の民が犠牲になりましたが、なぜかWTCビルに入居する企業のユダヤ人社員だけは被害にあわないようになっていました。

そして、この「911テロ内部犯行」の罪を全部、イスラム原理主義者になすりつけたのです。

オサマ・ビン・ラディンは「CIAに犯人役としてピックアップされた」のです。彼は犯人役を演じているだけです。

負債帳消しのためには、ブレディ債に関与した会社における情報だけではなく、会社に勤めている従業員も「消さなくては」ならなかったので、実際に「消され」ました。

飛行機がビルに突入してジェット燃料が燃焼したぐらいで、
遺体が残らないなんていうことがあるでしょうか?

ビルの鉄骨が鎔けて地下のスペースに何カ月も煮えたぎったプールとして残っているなんていうことがあるでしょうか?

ビルのコンクリートがミクロン単位まで破砕されるということがあるでしょうか?

そして当日救助等にあたったレスキュー隊員や警察官、作業員に異常な確率で各種の癌が発生するなんていうことがあるでしょうか?

ビルがまるで制御解体のように垂直に崩壊することがありうるでしょうか?

「911内部犯行テロ」では、WTCビルを倒壊させるために、“予め仕掛けてあった”「純粋水爆」が使われた、とすれば、これらの事象は全て説明がつきます。

「純粋水爆」とは、水爆の起爆スイッチに原爆を使わないものです。だから、爆発によって放射能は出ません。もっとも爆発後数時間程度は放射線が出ますが。癌になった作業員たちはこの放射線を浴びてしまったのでしょう。

作業員たちに癌が発生していることは殆ど報道されませんが。


~中略~


そして現下、金融危機が続いているわけです。
そして「国際金融資本」“金融ユダヤ人”どもは、往生際が悪いのです。
つまり、「もう一回、同じこと」を企んでいるんです、奴らは。

そのために、北朝鮮に核実験を「偽装」させているんです。北朝鮮みたいなポンカス国家に核兵器なんかつくれるわけがありません。裏ではアメリカとイスラエルが糸を引いています。

要するに、「国際金融資本」“金融ユダヤ人”どもは、超高高度で核兵器を爆発させて、電磁パルスを発生させ、これによってコンピュータの中の「国際金融資本」“金融ユダヤ人”どもにとって都合の悪い債権債務情報を抹消しようとしており、その罪を今度は北朝鮮に全部なすりつける気でいるんです。

そしてその「北朝鮮の行為」が不自然に見えないように、またこれを引き金に極東で大戦争を起こして、これを世界最終戦争に繋げて、「国際金融資本」 “金融ユダヤ人”どもの隷下の軍産複合体をボロ儲けさせ、果てには「国際金融資本」“金融ユダヤ人”どもが全てを専制的に牛耳る「New World  Order」を樹立しようとしているんです。

「国際金融資本」“金融ユダヤ人”どもは破綻が近いのではないか、と囁かれていますが、往生際の悪い奴らの事です。上記を無理矢理実行に移す可能性も捨てきれません。

転載終了
 

金融世界大戦の実態

金融世界大戦の実態

1.バブルな米国覇権を潰しにかかるBRICS
2014年5月13日   田中 宇
 ことし3月分の米国の自動車販売は、年ベース換算すると1640万台で、1524万台だった1月分に比べて売れ行きが好調で、米経済が回復基調にあることを示すものと報じられた。しかし好調の裏にある理由を見ると、喜べる状況でない。借金したら返せなくなりそうな低所得者など、財務状況の悪い「サブプライム」格の人々に自動車ローンを貸し付け、彼らに売ることで、自動車の売れ行きが好調になっている。これは、米経済を良く見せるための歪曲の構造で、経済回復と逆方向の、バブル崩壊の懸念の方が大きい。 (Auto Sales: Example of How U.S. Growth Is a Mirage)

 GMなど米自動車メーカーは、傘下の金融会社が貸すサブプライムの自動車ローンに補助金を出し、売れ行きを底上げする努力を続けてきた。通常なら自動車を買えない人々が、査定の甘いサブプライムのローンを借りて買っている。04-06年にサブプライムの住宅ローンが急増した後、07年からの金融バブル崩壊(サブプライム危機やリーマン倒産)につながった住宅ローンの前例を考えると、今回の自動車ローンのバブルもいずれ崩壊すると予測される。すでに昨秋から、自動車のサブプライムローンの返済遅延は前年比3割増えている。 (GM Financial tests prime-risk auto loans) (Subprime auto lenders exercising caution: Moody's)

 これまで優良(プライム)格のローンの借り手だった中産階級は、雇用市場の縮小(フルタイム職の減少とパートタイム増)によって年収が減る傾向だ。優良格の借り手が減った穴埋めに、銀行はサブプライムの融資を再び増やさざるを得ない。 (Banks return to risky business: lax standards and subprime loans)

 米経済の「回復」を好感し、米国の株価は史上最高値を更新している。経済の基調である雇用も、失業率が低下傾向だ。しかしこの点も、失業が長期化して求職活動をあきらめ、失業者の枠組みから外れる人が毎月100万人前後ずつ増えた結果でしかなく、無職の人は14年間で2700万人増えて1億人を超えた。米国の全世帯の2割(1600万世帯)は、家族の中に仕事をしている人が一人もいない。 (The Number Of Working Age Americans Without A Job Has Risen By 27 Million Since 2000) (Report: More Than 92 Million Americans Remain Out Of Labor Force)

 リーマン危機後、米国で新たに作られた雇用のほとんどは、低賃金のパートだ。オバマ政権は「製造業の復活」をうたい、権威あるボストンコンサルティングは最近、米国が製造業の大国に戻るとする報告書を出したが、実際に増えているのは低賃金の単純労働だけで、製造業の復活はうたい文句だけで実現していないと自動車産業の専門家が言っている。政府の粉飾に協力するからこそ、権威あるシンクタンクと呼ばれているのが現実だ。 (Most of Jobs Added During Obama Years are Low-Paying, Part-Time Jobs) (The glory days of American manufacturing are not coming back: Steven Rattner)

 このように米経済は、見かけの好調さと、実態的な悪さや危険の拡大との食い違いが拡大している。QE(量的緩和策)の縮小で、金あまり現象を人為的に煽るのも下火になり、いずれサブプライムなど高リスクな金融商品に対する信用が失墜してバブル崩壊につながる。 (バブルでドルを延命させる) (金融システムを延命させる情報操作)

 前回バブルが大崩壊したリーマンショックの時は、他の大銀行がリーマンやAIGを潰して儲けようとするなど、危機回避策が十分でなかった。今回は、リーマン危機以来、部分的な凍結が続いている金融システムの延命策としてバブル膨張が行われているので、バブル崩壊を回避(先送り)しようとする策が前回よりも強く存在しているとも考えられる。バブルの先送りは、さらなるバブルの膨張によって行われているので、最終的には巨大なバブル崩壊が起きるだろうが、それがすぐに起きそうな状態ではない。 (米金融界が米国をつぶす)

 しかし、リーマン危機時より今の方が米国にとって不利な点もある。それは国際政治の状況だ。米国は、世界の基軸通貨であるドルを持つ覇権国なのに、不健全な経済運営を続け、世界を不安定化しており、覇権国としてふさわしくないと、中露などBRICSが考える傾向を強めている。中国などは、外貨準備としてドルの代わりに金地金をさかんに買っている。 (Quiet revolution of the emerging countries)

 BRICSは7月のブラジルでのサミットで、IMFや世銀に代わる、新興諸国や途上諸国のための国際機関を新設することを決める予定だ。BRICSの圧力で2010年に決めたIMF改革(米欧の議決権を削ってBRICSにわたす)を米議会が批准しないので、BRICSはIMFに代わる機関の新設を決めた。これは、BRICSや途上諸国が貿易決済の通貨をドルから相互通貨や人民元などに替え、ドルを基軸通貨から引きずり降ろす動きにつながる。 (BRICS 80 Preparing To Take Down The Dollar)

 米経済は粉飾やバブルで不健全さが増し、BRICSが押せば倒せる状態になっている。以前は、ロシアも中国も、米国が覇権国である方が世界が安定しているので、米国と敵対せず国益を拡大しようとしていたが、911以来、米国は外交も過度に好戦的で、世界の安定を守る役目を果たさなくなっている。 (Uncertainty, not China, is replacing US power)

 BRICSは昨年から、米国に愛想を尽かす傾向を強めている。米国の諜報機関NSAが世界の通信を傍受していたことが発覚し、ブラジルは大統領の訪米をとりやめ、米国を経由しないインターネット網の構築を他の諸国と検討している。ロシアは、ウクライナ危機で米国から敵視され、米覇権打倒の方針に傾いた。インドは間もなく反米のモディが首相になる。中国も、南沙紛争などで米国に対する苛立ちを強めている。 (米露相互制裁の行方) (ウクライナから米金融界の危機へ)

 ウクライナ危機後、BRICSが経済面から米国の覇権を引き倒す可能性がぐんと強まった観があるが、BRICSが今後、どのタイミングでどのように米国の覇権を引き倒す策に出るか、まだ見えてこない。米国にとって最も打撃なのは、中国が米国債を買わなくなったり、貿易決済にドルでなく人民元を使う割合を急増したりする時だ。それがいつ起きるか、まだわからない。 (China currency liberalization to be a 'seismic event': Australia) (金融システムの地政学的転換)

 米国を引き倒す前に、BRICSは相互の結びつきを強めそうでもある。5月20日にプーチンが訪中し、ロシアが中国に天然ガスを売る量を増やす代わりに、中国がロシアへの投資額を増やすことが決まりそうだ。この協定は20年前に調印されたが、中露間に相互不信があり、具現化が止まっていた。ウクライナ危機は、中露が相互不信を払拭する起爆剤となっている。 (Ukraine crisis forces Eurasian evolution) (Anti-Sanctions? Putin Lifts "Limits" And China Agrees To Increase Investment In Russia)

 BRICSが結束を強めて米国の覇権を潰しにかかると、EUの立ち位置も微妙に変わる。今はまだ米国の覇権が強いので、ドイツなどEUは米国の同盟国として振る舞い、いやいやながら米国の対露制裁につき合っている。しかしドイツのメルケル首相は昨年、自分の私的な電話を米NSAが全て盗聴していたことが発覚して以来、ブラジルのルセフ大統領と同様、訪米を延期し、米欧自由貿易協定(TTIP)の交渉も頓挫している。メルケルは最近ようやく訪米したが、NSAが絡む諜報協定の締結を拒否し、米政府から冷淡な扱いを受けた。 (US and Germany remain frosty amid awkward visit from Merkel) (U.S. and Germany Fail to Reach a Deal on Spying)

 ウクライナ問題はロシアの優勢が増しているが、米国はロシア敵視を変えず、EUは米国の非現実的な反露策についていけなくなる。今後、BRICSが結束して米覇権を引き倒しにかかると、EU(独仏)は、米国よりBRICSと組みたいと考える傾向を強めるだろう。それを先取りして、3月末にドイツを訪問した中国の習近平は「中国とドイツは、経済だけでなく政治面でも戦略パートナーだ」と何度も強調し、欧州初の人民元取引所をドイツに作ってやり、ドイツをBRICSの方にいざなった。 (China, Germany establish comprehensive strategic partnership)

2.金融世界大戦の実態
2014年5月16日   田中 宇
 今年3月中旬、世界各国の中央銀行が米連銀(FRB)に預けている米国債の残高が1週間で1040億ドルも減る動きがあった。米連銀は、基軸通貨ドルの発行者として事実上、世界の中央銀行の中の中央銀行であり、世界中の中央銀行が米国債を連銀に預けている。その総残高は3兆ドルを超えるが、毎週発表される総残高はここ1年ほど、週に200億ドル程度の増減しかない。 (NY Fed Custody $104 Billion Treasuries)

 ところが3月13日に発表された残高は、前週比1040億ドルも減っていた。どこの中央銀行が売った(もしくは連銀口座から別のところに米国債を移した)のか発表されていないが、この時期にウクライナ危機で米国から経済制裁を受ける可能性が急増したロシアだろうと推測されている。ロシアはそれまで1400億ドル近い米国債を米連銀に預託しており、その大半が引き出されたことになる。 (Foreigners Sell A Record Amount Of Treasurys Held By The Fed In Past Week) (Fed Custody Holdings Record Decline Fuels Russia Speculation)

 米連銀は、08年のリーマン危機以来、部分的凍結状態が続く債券市場を下支えするため、昨秋まで毎月850億ドルずつドルを刷って米国債を買い支えるQE3(量的緩和策)をやっていたが、ドルの過剰発行による悪影響が懸念されたため、毎月の米国債買い支えの額を、昨年末から650億ドル、今年3月から550億ドル、5月から450億ドルに減らす縮小策を続けている。 (バブルでドルを延命させる)

 QE縮小の中で、ロシアが1千億ドル前後の大量の米国債を売却(または移動)したことは、一時的な米国債の金利高騰(価値下落)を招いても不思議でなかった。だが実際には、米国債の金利はほとんど動かなかった。連銀がQE縮小を開始した直後の昨年末には、中国が、同国として史上最大の480億ドルの米国債を売却した。だがこの時にも、米国債金利は大して変わらなかった。QEによる買い支えが減り続けているにもかかわらず、米国債の価値は上がっており、指標となる10年ものの利回りは、昨秋の3%近くから、今では2・5%台まで下がっている。 (China Sold Second-Largest Amount Ever Of US Treasurys In December) (Benchmark bond yields slide to 2014 lows)

 こうした反直感的な動きには裏があった。米連銀は昨年末以来、EUに頼んで、EU本部があるベルギーの中央銀行の名義を借り、ベルギーにある国際債券決済所「ユーロクリア」で、毎月約300億ドル分の米国債を買い続けている。ベルギーの中央銀行は昨年末以来、連銀に預けている米国債の残高が1500億ドル以上増えた。ベルギーのGDP(4800億ドル)の3分の1にあたる巨額だ。ベルギーは経常収支が赤字で、通貨がユーロなので勝手な増刷も許されておらず、そんな巨額の米国債を買う金などない。ベルギーの米国債の保有増分は全額、米連銀による買いだと推測されている。 (The Fed Is the Great Deceiver)

 要するに米連銀は、昨年末来、表のQEで毎月の米国債の買い支え額を合計400億ドル減らす一方、裏で毎月ベルギーで300億ドルの米国債を買っている。連銀は国際信用を守るため、ドルの過剰発行であるQEを縮小す姿勢をとらねばならない。しかし本当にQEを減らしたら、米国債の信用が落ちて金利高騰の悪夢になる。だから連銀は、表向きQEを減らしていると言いつつ、裏で他国の名義を借りて米国債を買い支えている。連銀は、この手の「裏QE」とも言うべき隠れた買い支えをほかにもやっているかもしれず、それらを合わせると、中露が米国債を売り放っても金利の上昇を防げる。 (What The Heck Is Going On With US Treasuries In Belgium?)

 米国は、米国債とドルの信用失墜を「裏QE」で防ぐ一方、ロシアに対する金融制裁を強めている。2月のウクライナ危機発生来、ロシアからの資金逃避が発生し、S&Pはロシアをジャンクの一歩手前まで格下げした。米欧投資家がロシア国債を買わなくなって金利が上昇し、上昇が不満なロシア政府は2月下旬から国債の入札を停止している。 (S&P Downgrades Russia to BBB-Minus, One Notch Above Junk) (Russia puts stop to debt sales as Ukraine crisis escalates)

 ロシアは石油やガス、金地金を産出する。露政府はその売却代金(輸出企業からの税金)を大きな財源にしており、国債を発行しなくても何とかやっていける。その点を突こうと、4月中旬、オバマ大統領がサウジアラビアを訪問し、産油余力が巨大でOPECの盟主であるサウジ王政に対し、国際市場で原油を売って相場を引き下げ、ロシアの原油収入を減らす策略に協力してくれと頼んだ。このやり方は、1980年代に米国がサウジに頼んでやらせ、ソ連の財政破綻と国家崩壊、冷戦終結につながった策だが、今回はうまくいかなかった。 (Obama wants Saudi Arabia to destroy Russian economy)

 サウジ王政はここ数年、米国がシリアのアサド政権を転覆したり、イランに対する制裁を強めることを望んできた。だが米国は昨年来、シリアを空爆すると言ったのにやらず、イランに対しても和解策に転じてしまい、外されて不利になったサウジ王政は、オバマに対して怒っている。シリアでもイランでも、米国が譲歩した分、ロシアの影響力が増しており、今後アサドやイランとの関係修復が必要なサウジは、ロシアと敵対したくない。オバマから対露制裁への協力を頼まれても、サウジ王室は受け入れなかった。 (Saudi Arabia: The US President's Futile Trip)

 このようにウクライナ危機による米露対立は、軍の動きよりも、米露双方の金利や財政状況、原油相場などの金融戦争の面が重要だ。同様に、金相場の動きも米露対立の重要な側面だ。金地金は、世界的な富の備蓄機能としてドルや米国債の対極にある。ドルの信用が下落するほど金の価値が上がるが、米英の金融界や米連銀は、先物市場を使って金相場を不正に操作して引き下げ、ドルから金への富の移動を防ぎ、ドルを延命させてきた。しかし最近、この不正が国際的に問題になり、いずれ不正操作がなくなって金相場が高騰する可能性がある。 (金地金不正操作めぐるドイツの復讐)

 これは、金地金の大産出国であるロシアにとって、金の産出収入の増加と、ドル崩壊による米国の覇権喪失という2つの面で有利だ。 (Russian Sanctions Could See Gold Prices `Explode')

 金相場の不正が行われている市場の一つはロンドン市場で、そこでは米欧の大手銀行4行が毎朝、その日の金価格の値決め作業(London Gold fix)を行って金の価格を決定しており、この作業の中で4行が価格を引き下げてきた疑いが持たれている。金と同じやり方の値決め作業(London Silver fix)で毎日の相場を決めている銀の相場でも、相場の不正操作が行われていると指摘されてきたが、銀の値決め作業のシステムは今年8月に廃止されることが最近発表された。 (The Beginning Of The End Of Precious Metals Manipulation: The London Silver Fix Is Officially Dead)

 ロンドンの金の値決めシステムは4行の銀行が参加しているが、銀の値決めシステムは参加銀行が減って2行しか残っておらず、値決め制度としての問題が金よりも大きいため、金より先に銀の値決め制度が廃止されることになったようだ。銀だけでなく、いずれ金の値決めシステムも廃止される可能性がある。ロンドンの値決めシステムが失われても、ニューヨークの先物相場があるので、引き続き不正操作の場が残っているが、先物相場は不正操作の効果がロンドンの「現物」市場よりも低い。金銀相場の不正操作が行われなくなると、ロシアは米英との金融戦争に勝てる可能性が増す。 (Silver fix is broken)

 ロシアにとって、米英との金融戦争における最大の味方は中国だ。ロシアは、米欧から制裁されて資金を絶たれても、中国から投資を受けられる。プーチン大統領が近く中国を訪問し、ロシアが中国に石油ガスの輸出を増やし、中国がロシアへの資金の投資を増やすかたちでの関係強化が行われる。こうした中露の関係は、企業の儲けのためというより、国家間の長期の相互利益のために行われる政治的な色彩が強い。

 中国からの投資がある限り、ロシアは米欧の制裁を恐れる必要がないし、中国に石油ガスを売れる限り、ロシアはEUに対し、制裁するなら石油ガスを売らないぞと脅せる。中国は、ロシアほど米欧から敵視されていないが、米国が日本やフィリピンなどをけしかけて中国包囲網を作っていることに脅威を感じ、米国が発するドルや債券バブルの不健全性も懸念している。中国が直接に米国と対峙すると、経済制裁など不利益を受けかねないが、ロシアが中国の代わりに米国と対峙し、中国がロシアを資金面などで支援するかたちなら、中国自身の不利益が少ないまま米国の覇権を崩せる。ウクライナ危機は、このような中国のロシアを使った「金融代理戦争」を急進させている。

 中国は世界最大の米国債保有国であり、最終的には、中国が米国債を買わなくなったり売り放ったりして、米国債の買い手が(米連銀自身以外に)いなくなり、米国債とドルの米国覇権が崩れていきそうだ。米国の覇権が崩れると、日本や東南アジア諸国など対米従属の国々も無力になって中国に敵対しなくなり、アジアにおける中国の地域覇権が確定する。米国が中国包囲網政策をやらず、中国と協調を続けていたら、米国の覇権が崩れることもなく、日本も対米従属を続けられたのに、米国は不必要に中国を敵方に追いやり、ロシアとの結束を強めさせ、米国自身の覇権を崩す道を歩んでいる。

 国際社会において、中国は今後さらに優勢になるだろう。中国が「金融代理戦争」の駒として使えるのはロシアだけでない。中東では、大産油国だが米欧から制裁されてきたイランが、中国の代理勢力だ。イランは、いずれ核問題が和解して国際社会に本格復帰すると、国際社会において米欧覇権を崩して多極化を目指す動きを強めるだろう。ロシアとイランは似た境遇にある。エチオピアやナイジェリアなどのアフリカ諸国も、中国の代理勢力になりつつある。

 ウクライナ危機発生後、ロシアと中国が結束し、BRICSや途上諸国を巻き込んでドルや米国債の面から米国の覇権を崩そうとする「金融世界大戦」が始まっている。「大戦」とは、世界的な覇権をめぐる世界規模の戦争のことだ(二度の大戦は、英国が持っていた覇権を日独などが剥奪しようとした戦争。英国は、米国に覇権を渡す見返りに参戦させて戦勝した)。 (内戦になりそうでならないウクライナ)

 今回の大戦は、BRICSなどが中露主導で、米国から覇権を奪い、自分らで多極型の覇権体制の新世界秩序を作ろうとする動きだ。兵器を使った従来型の軍事戦争でなく、ドルの覇権を守るか崩すかといった金融戦争が中心となっている。今起きているのは「金融世界大戦」だ。こんご従来型の軍事戦争としての世界大戦が起きる可能性もゼロではないが低い。発火点のウクライナでさえ、戦闘は限定的にしか起きていない。
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