トランプ大統領のアメリカとの外交

アメリカ大統領選挙はトランプが勝利し、TPP反対を標ぼうするブログ主としては良いことだとおもいます。
では、トランプ大統領のアメリカとどのように外交すべきか、参考になるブログを2本転載します。

1本目は2016年11月6日   田中 宇しのブログです。http://http://tanakanews.com/161106trump.php
トランプが勝ち「新ヤルタ体制」に
2016年11月6日   田中 宇

 最近、イスラエルの諜報機関モサド系の情報サイトと言われる「デブカファイル」を定期的に見るようにしている(イスラエルのサイトっぽく、ウェブサイトのセキュリティに問題があるとブラウザが表示する時があるが)。米国とその同盟諸国のマスコミやシンクタンクが発信する情報は、ロシアや中国などの非米諸国を敵視する方向で、国際情勢に対する解説を歪曲する傾向が増している。歪曲はだいたい画一的なので、米欧日のマスコミの解説を読むと、その多くが歪曲されているとわかるが、歪曲なしの解説がどんなものかはわからない。大勢と異なる論調の解説を探して読み、自分なりに納得できる解説を構築するのが私の作業だ。デブカファイルは、大勢と異なる論調の解説がわりとよく載る。 (Russian-Syrian Aleppo tactics await the South)

 イスラエルは米国の同盟国ということになっているが、911以来の米国の過激な中東戦略の(未必の故意的な)大失敗で窮地に陥らされ、米国の裏の意図を探る必要に迫られてきた。最近のイスラエルはロシアに擦り寄る傾向を強めており、それが、デブカや他のイスラエルのサイトに異説(独自の歪曲?)が載りやすい一因かもしれない。 (中東和平に着手するロシア) (イスラエルがロシアに頼る?)

 最近、デブカの記事で私が注目したのは「トランプが米大統領になると、ロシアのプーチン、中国の習近平との間で、これからの世界秩序に関するサミットを行い、米露中の影響圏の再配置が行われるだろう」という予測だ。これは、米国が次期政権になったら中東を中心とする国際政治がどう変わるかを予測した記事のひとこまだが、この予測が正しいとしたら、11月8日の大統領選でトランプが勝つと、世界は「新ヤルタ体制」と呼ぶべき新たな状況に転換することになる。米国が「非米側」に転向してしまうことでもある。 (Clinton and Trump offer diverse ME scenarios)

 第2次大戦でドイツ(日独)の負けが見えてきた1945年2月、米英とソ連の首脳がクリミアのヤルタで会談し、ドイツを倒したら東欧をソ連の影響下に入れることや、5大国(米英仏ソ中)が対等に協調する国連安保理の体制決定、ソ連の対日参戦など、米英ソの影響圏の再配置を決めた。英国はソ連を敵視していたが、米国はソ連(や中国)と協力してユーラシアを安定化することをめざした。ヤルタ会談や、その前後のカイロ会談、ポツダム会談などで、米国主導で描かれた、米欧とソ中が協調する戦後の多極型の世界体制がヤルタ体制だ。 (ヤルタ体制の復活)

 この体制はその後、英国が、米国の軍事産業や議会、マスコミ(これらを総称して「軍産複合体」)を巻き込んでソ連敵視を煽る策が成功し、米ソが協調関係から敵対関係に転換したため短命に終わり、冷戦体制に取って代わられた。アジアでも1950年の朝鮮戦争後、米国(日韓)が中ソと恒久対立する冷戦体制が確定した。(多極主義者は経済まで手が回らなかったようで、経済面は米単独覇権主義のみが先行し、英国の主導でドルを単独の基軸通貨にするブレトンウッズ体制が1944年に確立した) (「ブレトンウッズ2」の新世界秩序)

 ヤルタ体制から冷戦体制への転換の歴史から透けて見えるのは、米国(米英)の上層部に、ソ連(露中)と協調したい多極主義と、ソ連との敵対によって米英覇権を強化したい米単独覇権主義の勢力が対立・騙し合い・潰し合いしていることだ。冷戦時代を通じて米単独覇権主義の方が勝っていたが、1972年のニクソン訪中・米中協調開始以降、多極派が単独覇権派を凌駕する場面が目立つようになり、1990年後の冷戦終結・ソ連崩壊によって、ソ連(ロシア)との敵対構造自体がいったん崩壊・喪失した。 (ニクソン、レーガン、そしてトランプ) (世界多極化:ニクソン戦略の完成)

 ソ連崩壊は米単独覇権体制の恒久化・全面勝利なのだという「歴史の終わり」的な見方が90年代に出たが、強力な敵国との対立構造の喪失により、米単独覇権を維持してきた軍産複合体の役割自体が低下した。代わりに、90年代から急拡大した米英債券金融システムの「カネのちから」で世界を支配する金融覇権体制(IMFのワシントンコンセンサス、アジア通貨危機など)が強化された。00年のIT株バブル崩壊後、金融覇権が揺らぎ出したのに呼応して、軍産複合体が01年の自作自演的な911テロ事件で劇的に復権し、ソ連の代わりにアルカイダ(イスラム世界)と「第2冷戦」的な恒久対立をする「テロ戦争」が、米単独覇権主義として再台頭した(911は覇権中枢のクーデターだった)。 (覇権転換の起点911事件を再考する) (911事件関係の記事) (激化する金融世界大戦)

 だが「(冷戦と同じ長さの)40年続く」と予言されたテロ戦争は、15年しか持たなかった。イラク戦争の開戦事由の捏造の露呈、イラクやアフガニスタンの軍事占領のひどい失敗、リビア、シリアの内戦での戦略失敗、ブローバック的な欧州でのテロ頻発や難民流入危機など、あまりにひどい「未必の故意」的な失策の連続の末に、15年後の今、米欧の人々の多くが、テロ戦争にうんざりする事態を生んでいる。この有権者のうんざり感の中から、今回の米大統領選挙でのトランプの意外な優勢が出てきた。 (得体が知れないトランプ) (テロ戦争の終わり) (中露を強化し続ける米国の反中露策)

 私は、テロ戦争の失敗を、偶然の産物でなく、米覇権中枢における米単独覇権主義者と多極主義者の対立の一環としての、テロ戦争という単独覇権戦略を意図的に下手くそにやって失敗させる多極主義者の策略の結果であると考えている。ブッシュ政権の、チェイニー副大統領やネオコンの面々(ウォルフォウィッツ国防副長官ら)の中に、単独覇権主義者のふりをした多極主義のエージェント(隠れ多極主義者)が多数混じっていた疑いがある。彼らは、外交や戦争戦略のプロのくせに、イラク大量破壊兵器の不存在など、すぐばれるウソを繰り返し、やり方が異様に下手だった。 (ネオコンは中道派の別働隊だった?) (ネオコンと多極化の本質)

 オバマ大統領も、13年にシリア空爆を直前で撤回して米国の信用を引き下げた挙句、ロシアにシリア問題の解決を丸投げし、ロシアの中東覇権の拡大を引き起こしており、隠れ多極主義の疑いが濃い。ヒラリー・クリントンも、大統領に就任するまでは軍産複合体に極力迎合し、就任したら態度を微妙に変える隠れ多極主義なのかもしれないが、トランプはもっと直裁的で「隠れ」の部分がほとんどすっ飛んでおり「シリアにおいてロシアのテロリスト退治は成功しているのだから、米国はこれまでの馬鹿げたロシア敵視をやめて、ロシアと協調してテロ退治をやるのが良い」と明言している。 (プーチンを敵視して強化してやる米国) (米選挙不正と米露戦争の可能性) (シリアをロシアに任せる米国)

 単独覇権派と多極派の戦い(暗闘)は、未必の故意的な失策で単独派を潰す多極派の911以来の策が奏功し、「隠れ」の演技が必要ないところまで来たようだ。だから「隠れ」の演技にこだわるクリントンは、軍産の圧倒的な支持支援を受けているのに優勢を伸ばせず、「隠れ」の仮面を外して露骨な多極主義を見せるトランプの方が有力になっている。機密メール問題の捜査再開を表明し、土壇場でクリントンを不利に陥れたFBIの策は、隠れ多極主義のオバマがやらせたものと推測できる。投票3日前の現時点で、私は、大統領選挙はトランプが勝つと予測している。 (土壇場のクリントン潰し)

▼米国の軍事力を中東で浪費させ効率よく多極化に誘導したネオコンやチェイニー

 1945年のヤルタ会談から、2017年にトランプが大統領になった場合に起こりそうな「新ヤルタ会談」的な米露中サミットまでの約70年間の、多極主義と米単独覇権主義の長い暗闘について書いたが、ヤルタ会談は、欧日中など全世界で何千万人もの死者を出した第2次大戦に付随する出来事だ。米国が、ヤルタ体制を作って世界を多極化しようとしたのは、それまでの英国覇権体制を壊し、多極化によって世界経済の長期的な成長力を引き出すためだった。 (覇権の起源<3>ロシアと英米) (覇権の起源)

 単独覇権体制は、英米などどこの単独であっても、覇権体制を維持するために敵視・抑圧される国々(途上諸国、新興諸国)の経済成長を長期に阻害する。多極型の方が、世界経済の発展を引き出せる(90年代以降、単独覇権体制下で米欧が経済発展したのは、実体経済でなく債券金融バブルが拡大したからだ。近いうちにリーマン危機以上のバブル崩壊が起きる)。2度の世界大戦の時期は、世界大戦を起こして多大な殺戮や破壊をやることで、世界を多極型へと転換・再起動しようとした。 (資本の論理と帝国の論理) (多極化の本質を考える)

 対照的に現在は、覇権の転換に関わる戦争が、ほとんど中東だけに限定されている(他はウクライナ東部ぐらいしかない)。中東では何百万人もの人々が犠牲になっているが、米国の軍事力が中東で浪費されているため、戦争は中東以外に広がらず、世界大戦にならない。中東の人々の犠牲のもとに、他の地域の人々の安穏とした生活が保たれつつ、多極化が進行している。覇権転換のやり方として、覇権運営者たちは、70年前よりも効率的・人道的な手法をとっている。イラク戦争で(わざと)大失敗をやらかしたネオコンやチェイニーの「功績」といえる。 (せめて帝国になってほしいアメリカ)

 70年前のヤルタ体制で、英国は、ヤルタ体制を壊して冷戦体制に転換させる役回りだった。しかし今回は対照的に、英国自らが多極化を推進し、他の欧州諸国より早く多極化の波に乗ることで、自国の発展を維持する戦略をとっている。英国はキャメロン政権の時から、中国が作る国際銀行AIIBに、米国の反対を押し切って加盟表明するなど、多極主義的な動きをしていたが、メイ政権になってロシアと和解すると表明し、多極主義を加速したい感じだ(英上層部は最近、暗闘感が強いが)。 (多極派に転換する英国)

 FBIのクリントン捜査再開表明後、メイの英首相官邸が、トランプ陣営に接触し、会合の場を持ったという。英政府は、トランプの勝ちを予測して接近してきたのかもしれない。トランプが勝った場合に進みそうな新ヤルタ体制において、英国は破壊者でなく協力者だ。新ヤルタ体制になったら、独仏(EU)は米国覇権下からの離脱傾向を強め、EU軍事統合を進めて対露和解し、NATOを有名無実化していきそうだ。豪州や韓国は中国に吸い寄せられる傾向を強める。日本は、何が起きているのか把握できず、茫然自失的な無策が続く。 (Is Downing Street Bracing For A Donald Trump Win?)

 70年前も今回も、タナボタ的に優遇されているのが中国だ。70年前の中国は、日本によって山奥に追い詰められていた弱小の国民党政権だったが、米国は蒋介石をカイロ会談に招待し、世界5大国の一つとして厚遇した。数年後に蒋介石は内戦で毛沢東に敗れ、朝鮮戦争後は共産中国と米国が対立に入り、中国のタナボタ状態は長続きしなかった。だが今回また米国は、南シナ海問題などで中国を国際政治のお芝居として敵視する演技を続けているが、本質的に米国は中国の台頭を抑止せず放置している。カイロ会談からニクソン訪中を経て現在までの70年の米中関係を眺めると、中国を多極型世界の地域覇権国の一つに仕立てるのが米国の長期戦略だとわかる。 (多極化の進展と中国) (加速する中国の優勢)

2本目は北野幸伯 [国際関係アナリスト]【第29回】 2016年11月9日ダイヤモンド・オンラインより転載http://diamond.jp/articles/-/107231
トランプ大統領の「安保タダ乗り論」にどう対処すべきか
北野幸伯 [国際関係アナリスト]
【第29回】 2016年11月9日
著者・コラム紹介バックナンバー

ヒラリー・クリントンとの激戦を制したドナルド・トランプ。数々の暴言で知られるトランプだが、間もなく日本の同盟国・米国の大統領になる。この事実を私たちは受け入れ、未来に目を向ける必要がある。今回は、「日本は、トランプとどうつきあうべきなのか?」を考えてみよう。
なぜ、泡沫候補が
勝利できたのか?

 日本に対しても、「もっと金を出さなければ、米軍を撤退させる」「日本が核を保有することは悪いことではない」とトンデモ発言を繰り返し、日本人と日本政府を困惑させてきたトランプ。まず、当初「愉快候補」「泡沫候補」と思われていたトランプが、なぜ勝利できたのかを考えてみよう。

 1つ目の理由は、「グローバル化」への反発である。

「超富豪が世界を牛耳っている」というと、「陰謀論」と捉える人が大半だろう。しかし、近年「本当にそうなのではないか?」という事実も出てきている。なんと、「世界の大富豪上位62人の資産と、下位36億人の資産は同じ」だというのだ。CNN.co.jp1月18日から。(太線筆者、以下同じ)

<オックスファムは今週スイスで開かれる世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に向け、米経済誌フォーブスの長者番付やスイスの金融大手クレディ・スイスの資産動向データに基づく2015年版の年次報告書を発表した。
 それによると、上位62人と下位半数に当たる36億人の資産は、どちらも計1兆7600億ドル(約206兆円)だった。>
<また、上位1%の富裕層が握る資産額は、残り99%の資産額を上回る水準にあるという。>(同上)

 上位1%の資産は、残り99%の資産額より多い!そして、同報告書によると、格差はますます拡大し続けている。 

・62人の超富豪と、貧しい36億人の資産は同じ。
・上位1% の資産は、残り99%を超える。
・貧富の差は、ますます拡大している。

 このような世界の現状は、陰謀論者でなくても「おかしい」と思うだろう。米国でも、そう考える人が増えた。

 ところで、「グローバル化」と「貧富の差の拡大」は、どう関係があるのだろうか?ここでいう「グローバル化」とは、「人、モノ、金の移動が自由になること」を意味する。たとえば、「金の移動」が自由になり、世界の大企業や大富豪たちは、普通にオフショアを利用している。つまり大富豪は、合法的に「税金をほとんど払う必要がない」のだ。

 一方で、「人の移動の自由化」により、たとえば米国に貧しい国からの移民が殺到している。労働市場に安い労働力がどんどん供給されるため、元から住んでいた人たちの賃金は安くなり、職を失う人も多い。

 しかし、「労働力が安くなること」を、大企業は歓迎する。今回の大統領選で、こうした「行きすぎたグローバル化」に反対の声を挙げた候補が2人いた。1人は、民主党でヒラリーを追いつめた社会主義者サンダース。もう1人は、共和党のトランプだ。

 トランプ自身は大富豪だが、移民の規制を明言するなど、「反グローバル化」「米国第一主義」を掲げている。

 トランプが勝利した2つ目の理由は、「ISによるテロが頻発していること」だ。

 2014年8月、オバマは「イスラム国」(IS)への空爆を開始した。苦境に立たされたISメンバーたちは、難民に混じって欧州に逃れ、その後世界に散らばっていると言われている。たとえばドイツだけで15年、100万人以上の難民がシリア、イラク、アフガニスタンなどから来た。そのうち何人がISメンバーなのか、把握できない(誰も、「自分はISメンバーです」と宣言してやってこない)。
トランプは15年12月、「イスラム教徒の入国を完全に禁止しろ」と発言した。理由は、「誰が普通のイスラム教徒で、誰がISメンバーなのか分からないから」だ。政治家もメディアも「差別だ!」とひどく反発したが、米国民からは、「その通りだ!」という声が上がりで、支持率は下がらなかった。
トランプ当選の最大の理由
FBIはなぜヒラリー捜査を再開したのか?

 3つ目、最大の理由は、大統領選直前にヒラリー・クリントンの汚職疑惑に関心が集まったことだろう。

 ビル・クリントンが大統領を引退した01年、ヒラリーはニューヨーク州上院議員になった。2人は同年、慈善団体「クリントン財団」を立ち上げている。

 政府の汚職を研究する「政府アカウンタビリティ研究所」(GAI)のピーター・シュバイツァー会長は15年5月、「クリントン・キャッシュ」という衝撃的な本を出版した。全米でベストセラーになったこの本によると、クリントン夫妻は、以下のような構図で金儲けをしていたという。

1.ビル・クリントンが、外国政府、企業の要望を聞き、上院議員(後に国務長官)ヒラリーに、それを伝える。
2.ヒラリーは、政治力を行使し、外国政府、外国企業の願いをかなえる。
3.外国政府、外国企業は、見返りとして、ビル・クリントンに高額の講演料を支払うか、あるいは「クリントン財団」に多額の寄付をする。

「クリントン・キャッシュ」によると、その「黒い収入源」は、カザフスタン、ロシア、インド、アフリカ、中東、南米と、世界中にひろがっている。「クリントン財団」の汚職疑惑については、FBIも捜査している。ウォール・ストリート・ジャーナル10月31日付を見てみよう。

<クリントン財団の捜査に関する証拠の強さに上級幹部らが繰り返し疑問を投げ掛け、多岐にわたる取り組みを縮小しようと試みていたことが新たに分かった。一部の関係者によれば、この一件の追及を制限するよう捜査員たちに命じていた。同財団への捜査は、金融犯罪などの有無を見極めるために1年以上前に始まった。>

 この記事は、1.クリントン財団に金融犯罪の疑いがあり、FBIが捜査していること 2.FBIの上層部は捜査に乗り気でないこと、を示している。

 しかし、上層部が乗り気でなかったはずのFBIは、なんと大統領選挙直前に、「メール問題」「クリントン財団問題」の捜査を再開し、ヒラリーのイメージに決定的打撃を与えた。
捜査再開の理由についてFBIは、ヒラリーの側近フーマ・アベディンと、その夫アンソニー・ウィーナー元下院議員のパソコンから、私用メール問題に関係のある可能性があるメールが「新たに65万通見つかったから」と説明している。

 しかし、ロシアでは、「ヒラリーのあまりにひどい汚職に耐えかねたFBIが、彼女の支持率を下げるために、わざと選挙直前に捜査を再開した」とみられている。

 真相は分からないが、実際に支持率は下がり、トランプは勝利した。
米軍駐留費全額負担と在日米軍撤退は
どちらが日本にとっておトクか?

 次に、「トランプ新大統領と、どう付き合うべきか?」を考えてみよう。トランプは、さまざまな暴言を吐いているが、日本がらみで大問題になったのは、2つである。

1.日本がもっと金を出さなければ、在日米軍を撤退させる可能性がある。
2.日本の核武装を容認する。

 要するに、トランプは「日本がもっと金を出せば、在日米軍は留まる」ということを言いたいのだ。そうなれば、日本が核武装する必要もなくなる。つまり、日本にとって、トランプ問題は「在日米軍に残ってもらうために、もっと金を出すべきかどうか?」という話に集約される。

 これを検討する前に、「そもそも日本には脅威が存在するのか?」を考えなければならない。

 真っ先に思い浮かぶのは、北朝鮮だろう。そして、中国。毎度同じことを書いて申し訳ないが、中国は12年11月の時点で、ロシアと韓国に、「反日統一共同戦線」の構築を提案している。そして、「日本に放棄させるべき領土」には、北方4島、竹島、尖閣に加えて、沖縄も入っている。中国は、「日本には尖閣だけでなく、沖縄の領有権もない」と宣言しているのだ。さらに同国は、「反日統一共同戦線には、米国も引き入れなければならない」としている。

 つまり、中国が尖閣、沖縄を奪うのは「既定路線」であり、米軍が撤退すれば、必ず侵略を開始するだろう。結局、日本の選択は2つしかない。

1.トランプの求めに応じて、米軍駐留費用をもっと払う。
2.米軍に出ていってもらい、自分の国は自分で守る。

「独立国家としての理想」は、いうまでもなく「自分の国は自分で守ること」だろう。しかし、そうなると、巨大な中国に対抗するために、「防衛費増加」を避けて通ることはできない(ストックホルム国際平和研究所のデータによると、中国の軍事費は15年、2150億ドル。日本は409億ドル。その差は、実に5倍以上である)。
現在、日本の防衛費はGDPの約1%、約5兆円である。これは、世界レベルで見ると例外的に少ない。米国の軍事費は15年、GDP比で3.32%。日本が米国並みの軍事費を目指せば、防衛費は年間16兆円となり、現状の5兆円+11兆円増となる。そこまで極端でなくても、GDP比2%ぐらいは、当然必要になってくるだろう。そうなると防衛費は倍増するので、年間5兆円増となる。

 はたして日本国民は、「防衛費を年間5兆円増やすこと」に賛成するだろうか?財政面を考えても、おそらく無理だろう。では、トランプの要求に従って「米軍駐留費用」を増額すると、いくらかかるのだろうか?

 実をいうと、日本は既に「米軍駐留費用」の約75%を負担している(そのことを知ったトランプは、「日本はそんなに払っているのか!」と驚いたという)。

 防衛省によると、平成28年度の「在日米軍関係経費」は、5566億円となっている。これで75%ということは、100%負担すると年間7421億円が必要となる。

 7421億円-5566億円=1855億円。

 トランプから、「100%日本が負担しろ!」と言われ、それを実行すると、年間1855億円の負担増となる。一方、米軍に出ていってもらって完全自主防衛にし、防衛費を現在のGDP1%から2%にすれば、年間5兆円の負担増だ。どちらに経済合理性があるかは、明らかではないだろうか?
トランプの言動から読み取れる性格
「負けず嫌い」をうまく活用すべき

 トランプとは、どんな男なのだろうか?今までの発言からはっきり分かる特徴が2つある。

1.民族主義的である。
 多民族国家である米国で、「民族主義」という用語は適切ではないかもしれない。トランプ風にいえば、「米国第一主義」となる。

2.なんでも「損得」「お金」で判断する。
 資本家、経営者としては当然かもしれない。このことは、日本、韓国、サウジアラビア、NATO諸国などに、「もっと金を出せ!」と要求していることから明らかだ。

 BBCニュース11月2日付は、「ドナルド・トランプ氏の頭の中」という記事の中で、8つの特徴を挙げている。

1.過去について話すのが好きではない
2.けんかが好き
3.失敗を受け入れるのが嫌い
4.自分の名前が記事になるのが大好き
5.良い政治家は良いセールスマンだと考えている
6.自分は正直だから騒ぎになると考えている
7.パットが上手(らしい)
8.スキーの名人を良く思っていない、自分より上手いと見せつけられるのも嫌い

 トランプの過去のインタビューを分析して書かれたこの記事からわかるのは、「異常なまでに負けず嫌い」であるということだ。もっとも興味深いのは、「8」だ。

<8. スキーの名人を良く思っていない、自分より上手いと見せつけられるのも嫌い。
 本を書くにあたって、ダントニオ氏はトランプ氏の元妻イバナさんにも取材した。付き合い始めて間もなくコロラド州にスキーをしに出かけた時のことを、イバナさんは話した。
 イバナさんがスキーが得意だと知らなかったトランプ氏は、先に斜面を下ってから恋人に「こっちだよ、ベイビー、こっちだよ」と呼びかけたという。
 そこでイバナさんは「空中で回転したんです。2回、くるって。彼の前で2回。そしてそのまま遠くまで滑って行った」。
「ドナルドは激怒して、スキーを外して、シューズも外して、レストランまで歩いて行ってしまった。我慢できなかった。まったく我慢できなかったんです」>
(BBCニュース 11月2日)

 恋人が自分よりスキーがうまいのが、我慢できない!その後の態度は、まるで子どものようだ。日本は、こういうトランプの特徴を知り、うまく付き合うべきだ。安倍総理はトランプに会ったら、「私も日本国民も、米国が世界のリーダーで居続けることを望んでいます」と言おう。トランプは、きっと喜ぶだろう。

 続いて、「しかし国際社会は、米国が世界のリーダーで居続けるとは思っていないようです。ほとんどの米国の同盟国が警告を無視して、中国主導のAIIBに参加したことからも、それは分かります。世界は、中国が世界のリーダーになると思っているみたいですね」と言う。すると、トランプの負けず嫌いに火がつき、「どうすれば中国に勝てるだろうか?」と考えはじめることだろう。

 日本最大のリスクは、米国抜きで日中戦争になることである。そうなれば尖閣は、ほぼ確実に奪われる。

 日中戦争を回避するもっとも簡単な方法は、払う金を増やしても日米同盟を強固に保つこと。そしてトランプに、「対中国バランシング同盟」を主導してもらうことだ。日本が考えなければいけないのは、トランプの強大なエネルギーを、正しい方向に向けることなのだ。


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