パリのテロと追い込まれるISIS、イスラエル

2015年11月18日   田中 宇より転載

パリのテロと追い込まれるISIS、イスラエル
2015年11月18日   田中 宇


 13日の金曜日の夜、パリでイスラム過激派ISIS(イスラム国)が同時多発テロを挙行した。129人が死亡し、マスコミは「911以来(米欧での)最悪のテロ事件」と喧伝している。だが、米欧の大騒ぎに対し、シリアのアサド大統領は「フランスで起きたようなこと(ひどいテロ)が、シリアでは5年前から何回も起きている」と述べている。 (Assad on the Paris terror attack: It's happening to Syria for 5 years)

 2011年の内戦開始後、ISISやアルカイダなどイスラム過激派に攻撃されているシリアの各都市では、攻撃の一環として、過激派による爆破テロが頻発している。過激派は、都市に総攻撃をかける前に、その都市で大規模な同時多発の自爆テロを起こすことが多い。アサドの発言は誇張でない。イラクやレバノンでも、爆破テロがよく起こる。中東の都市で多数の死者を出すテロが起きても、米欧日のマスコミはたいして報じない。

 パリテロ前日の11月12日には、レバノンのベイルートでISISによる同時多発の自爆テロがあり、43人が死亡した。レバノンでは、アサド政権に頼まれてシリアに進出してISISと戦うイラン傘下のシーア派民兵団ヒズボラが強い政治力を持っている。ベイルートのテロは、ヒズボラに対するISISの攻撃と考えられる。10月31日には、エジプトのシナイ半島を飛び立ったロシアの旅客機が空中で爆発する事件があり、エジプトの空港要員が機内に積み込んだ荷物の中に爆弾を入れたのでないかと見られているが、これもロシアを敵視するISISが犯行声明を出している。 (ISIS Claims It Downed Russian Plane; 224 Dead)

 フランス軍は報復のため、ISISの「首都」になっているシリア北部のラッカ周辺にある、ISISの司令部や弾薬庫、訓練施設などを12機の戦闘機で空爆した。仏軍は米軍と連携し、ISISへの空爆を強めるという。しかし、この話もよく考えると頓珍漢だ。仏軍が今回空爆したISISの司令部や弾薬庫、訓練施設などは、場所がわかりしだいすぐに空爆すべき地点だ。フランスは昨年9月から1年以上、米軍と一緒にISISの拠点を空爆し続けている。仏軍は、ISISの司令部や弾薬庫、訓練施設などの所在を、この数日間に発見したのか?。そうではないだろう。仏軍や米軍は、以前からそれらの所在を知っていたが、空爆していなかったと考えるのが自然だ。米国や英仏は、以前からISISなどテロ組織がアサド政権を倒すことを期待し、ISISなどを退治するふりをして温存(支援)してきた。 (露呈するISISのインチキさ) (France launches air strikes against Isis in Iraq)

 パリテロ前日の11月12日には、米軍が、シリア上空に飛ばした無人戦闘機でISISの英語広報役の「聖戦士ジョン」(モハメド・エムワジ、英国人)を殺害したと発表した。ジョンは、外国人の人質を座らせ、殺害するぞと脅すISISの動画にいつも出てくる人物で、米欧日で有名だ。米軍は有名人を空爆で殺し、米国がISISと戦って成果を上げている印象を世界的に示したかったのだろう。だが、ジョンは単なる広報役であり、彼が死んでも代役はたくさんいる。ジョン殺害は逆に、米国が本気でISISを潰すつもりがないことを示している。 (Why Jihadi John's 'assassination' Is Nowhere Near as Important as You Think) (テロ戦争を再燃させる)

 米軍がジョンの所在を把握できたのは、米英がスパイを(おそらく志願兵として)ISISの内部に入り込ませていたからだと報じられている。米英は、どこにISISの重要施設があるか、どんな意志決定をしているか、スパイを通じて以前から知っていたことになる。それなのに米英はISISを潰さなかった。 (Killing Mohammed Emwazi a significant blow to Isis, says US)

 とはいえ、9月末からロシア軍がシリアに進出し、テロリストを空爆して退治し始めた後、米欧もロシアに引っ張られ、以前のようにISISをこっそり支援し続けられなくなった。米オバマ政権は、ロシア主導のISIS退治、アサド容認をなし崩し的に容認している。露軍進出以来、米欧がアサド敵視・ISIS容認から、ISIS敵視・アサド容認へと傾いたのを見て、ISISは「今まで温存してきてくれたのに捨てるのか。許さないぞ」という意味でテロを起こした感じだ。アサドは「仏政府の間違った政策(ISISをこっそり温存・支援し続けたこと)が、パリのテロの原因だ(仏自身に責任がある)」と述べている。 (Syria's Assad: Paris attacks result of French policy)

 米欧諸国の中で、米英はISISに武器や食料を投下してこっそり支援してきた。フランスは、米英に追随してシリア上空に戦闘機を飛ばしてきたものの、ISISを支援する米英の動きにはおそらく参加していない。ISISは、これまで支援してくれた米英でテロを起こさず、中途半端な態度のフランスでテロを起こした(独伊など他の欧州諸国は、ISIS空爆に参加していない)。 (Why Paris? The answer can be found in Syria and Iraq)

 ISISはパリで、今年1月にも「週刊シェルリ」やユダヤ食品店を攻撃するテロをやった。フランスは、シリアの旧宗主国で、アラブ諸国からきた貧しい移民が多く住んでおり、1月のテロ以降も、ISISは地下組織網を仏国内に維持していたのだろう。(米英の諜報機関が欧州でのISISの組織網拡大を支援してきた可能性がある)

 パリのテロは、米欧に裏切られたISISによる報復と見なせる。だが、テロはISISを利さず、むしろISISの敵であるアサドやロシアの立場を強めることになる。テロを機に、EUや米国は「ロシアの主導権を認め、アサドに辞任を迫らず、イラン敵視をやめて、シリア露イランの軍勢に協力し、ISISなどシリアのテロリストを早く退治した方がよい」と考える傾向を強めている。 (Who Benefits Most From Paris Attacks? Assad) (Obama, Putin agree to 'Syrian-led, Syrian-owned political transition,' US official says)

 ロシアは、18カ月でシリアの内戦を終わらせる案を関係諸国に提示し、米国など多くの国がそれを大筋で認めている。露案は、今年中にシリア反政府派を「テロリスト」と「それ以外の勢力」に仕分けし、テロリストは軍事的に攻撃して潰し、それ以外の勢力は来年初めからアサド政権との交渉して来春までに連立的な暫定政権を樹立する。その後1年以内にテロリストを退治するとともに総選挙をやり、その後のシリアの正式な政権を決定する筋書きだ。シリア問題は解決の方向に、ISISは撲滅される方向に動いている。 (Syrian Transition Plan Reached by U.S., Russia in Vienna)

 欧州は最近、シリアなどから多数の難民が流入し、難民危機で揺れている。この危機自体、ISISとクルド人をシリアで戦わせ、仇敵のクルド人を潰したいトルコ当局(諜報機関)が、ロシアに引っ張られてISIS退治に本腰を入れそうなEU諸国に圧力をかけるため、トルコ国内にいる難民を意図的に欧州に流入させた疑いがある。難民危機を受けて欧州では、キリスト教徒の各国民が、イスラム教徒の難民や移民を敵視する風潮が広がっている。ISISは、欧州でのキリスト教徒とイスラム教徒の対立を扇動することで、ISISに入るイスラム教徒の若者を増やそうとしている。キリスト教徒にとって不吉な13日の金曜日をテロの挙行日に選んだのはその一つだ。 (ロシアに野望をくじかれたトルコ)

 パリテロの実行犯の一人の遺体の所持品から、シリアの偽造旅券が見つかっている。犯人像を隠したいテロの実行犯が、わざわざ旅券を持って自爆テロに行くはずがない。ISISは、テロ実行犯に旅券を持たせることで、難民危機とISISのテロを結びつけようとしたのだろう。911テロ事件後、崩れた摩天楼の瓦礫の中から犯人のものとされる旅券が見つかったと米当局が発表した時のドタバタ劇を思い起こさせる。 (The False Flag Link: Syrian Passport "Found" Next To Suicide Bomber Was "Definitely A Forgery") (Magic Passports Redux: Syrian Passport Allegedly Discovered on Suicide Bomber)

 難民危機とISISのテロを結びつけるのは、ISIS(やその背後にいる米国)にとって逆効果だ。欧州各国の政府や世論は「シリアの内戦が延々と続くから、シリアから難民が大勢流入し、ISISがテロを起こす。テロや難民危機を解決するには、早く内戦を終わらせてシリアを再び安定させ、ISISを退治することが必要だ。効果があがらない米国主導のISIS対策ではダメだ。短期間で成果を上げているロシア主導の策に乗った方がいい」という考え方に傾いている。対シリア政策を米国が主導する限りISISは温存されるが、ロシアの主導が強くなるとISISは潰される。 (Could The Syrian Conflict Irrevocably Change Global Geopolitics?)

 パリとベイルートでのテロ、ロシア旅客機爆破という、ISISが最近起こしたと考えられるテロのうち、ベイルートのテロと露機爆破は、ヒズボラとロシアというISISの仇敵への反撃と考えられ、理解しやすい。だが、パリのテロは、単純な構図でとらえきれない。ISISでなく、その背後にいる勢力までを視野に入れると、さらに深い構図が見えてくる。ISISの背後にいる勢力は「米国」だが、それはオバマ政権のことでない。「軍産複合体」のことであり、そこにはイスラエルや英国の諜報機関が含まれる。ISISと戦っているイラク政府軍は10月下旬、捕虜にした敵勢力の中に、ISISの軍事顧問として働いていたイスラエルの将校(Yusi Oulen Shahak)が混じっていたと発表している。 (Israeli Colonel Leading ISIS Terrorists Captured in Iraq)

 欧州は昨年から、パレスチナ人を弾圧して和平を進めず、占領地での入植活動を拡大しているイスラエルを経済制裁しようとしている。フランスは、イスラエルの入植地拡大を阻止するため、西岸や東エルサレムに国連監視団を派遣する案を国連安保理に提出しようとしている。仏提案は10月下旬に表明された。フランスがイスラエル制裁の急先鋒としての動きを強めている矢先に、パリのテロが起きた。 (PM rejects `absurd' call for international observers on Temple Mount) (PLO: France to submit Security Council resolution on international protection force at al-Aqsa mosque)

 EUは、西岸やゴラン高原などの占領地の不正な入植地で製造され、欧州が輸入した製品に対し、不正入植地で作られた製品であると明示するラベルを貼りつけるよう義務づけるEU全体の新たな規則を作ることを、昨年から検討してきた。フランスは、この動きの主導役に入っている。ラベル義務化の準備は今春から本格化し、11月初めにいよいよ導入されるめどが立った。イスラエル政府が、ラベリングに関してEUを非難して両者間の外交対話を断絶すると発表し、イスラエルによる批判をEU側が拒否した直後、パリのテロが発生した。 (Israel suspends diplomatic dialogue with EU over settlement product labeling) (EU looking into labeling of Israeli settlement products)

 ISISは今年1月にもパリでテロを起こし、この時はユダヤ食品店など、イスラエルを想起させる標的も攻撃された。当時、すでに欧州各国では、パレスチナで人権侵害(人道上の重大な犯罪)を続けるイスラエルに対する民間主導のボイコット運動が広がっていた。1月のISISのテロは、イスラエルを「(パレスチナ人を殺す)加害者」から「(ISISに殺される)被害者」へと一時的に転換させた。イスラエルは以前から、自国がパレスチナ人の「イスラムテロ」の被害者であるという姿勢をとっている。1月のテロは、人々の憎しみがイスラエルでなく(イスラエルが占領地で殺している)イスラム教徒に向くよう仕掛けられた観がある。 (イスラエルとの闘いの熾烈化)

 欧州ではその後、イスラエルへの制裁や非難を強めようとする勢力と、制裁や非難を回避しようとするイスラエルからの政治圧力がもみ合った。その中で、不正義を許さない欧州の不屈の動きが少しずつまさり、いよいよ不正入植地製品に対するラベル義務化が実現しようとする矢先に、今回の2度目のISISのテロが起きた。今回のテロでは、ユダヤ人が標的になっていない。だが、テロが意味するところは、1月の1回目のテロですでに明らかだ。(フランスや英国にはユダヤ系の政治家や財界人が多く、イスラエルは彼らに「祖国を守らないのか」と圧力をかけている。フランスをテロの標的に選ぶ理由の一つは、ユダヤ系有力者たちへのゆさぶりだろう) (Adelson, Saban: `Anti-Semitic tsunami' on the way)

 パリのテロの後、米議会上院でイスラエルを強く支持する議員であるチャック・シューマー(ユダヤ系、民主党)は「パリのテロによって米欧は(イスラム教徒から)テロを受け続けるイスラエルと同じ立場になった。米欧は最近イスラエルに冷たいが、今後はイスラエルと一緒に(イスラム)テロと戦うしかない」と述べている。「米国はイスラムテロと戦う国としてイスラエルと一心同体になった」といった言い方は、01年の911事件直後にも米国を席巻している。 (Schumer: ‘Condoning’ terror against Israel led to Paris attacks) (West's war against terrorism is Israel's war, Chuck Schumer says) (Chuck Schumer - Wikipedia)

 911は米国で起きたが、その後、米国では大きなテロが起きていない。米国のオバマ政権は最近、イスラエルの言うことを聞かず、イスラエルの仇敵であるイランを核協約で許し、イランがロシアと組んでイスラエル近傍のシリアやレバノンへの影響力を拡大することに道を開いた。イスラエルの諜報機関がISISを動かしてテロをさせられるなら、フランスでなく米国が標的になっても不思議でない。しかし、オバマはその一方で、イスラエルに巨額の軍事支援金を出している。先日イスラエルからネタニヤフ首相が訪米し、米国からもらう軍事援助を従来の年間30億ドルから50億ドルに増やす話をして帰った。米国はイスラエルに「みかじめ料」を払い、自国でテロが行われるのを避けている。 (Obama, Netanyahu Agree to Replace $30 Billion Arms Deal With `Substantially More')

 フランスとシリアは地続きで、ISISはテロをやりやすいが、米国は海のかなただ(米国は911前、アルカイダのテロリストを国内で訓練しており、以前は米国内にテロリストがうじゃうじゃいたが、911後は変わったらしい)。米国は遠いが、ドイツはフランスと同様、シリアから地続きだ。独仏間は検問もなく移動できる。なぜISISはドイツでなくフランスでテロを繰り返すのか(独ハノーバー市の警察が、サッカー場や音楽堂、駅に爆弾を仕掛けるテロ計画を阻止して捜査中とされているが)。 (Hannover Police Warn "Find Safety, Don't Stay In Groups" After Explosives Allegedly Discovered, Football Game Evacuated)

 ドイツでテロが起きにくい理由の一つと考えられることは「イスラエルにとって、ドイツがホロコーストによる永遠の加害者でなければならないから」というものだ。ドイツ(欧州、EU)が極悪な加害者で、イスラエル(ユダヤ人)が絶対的な被害者になるホロコーストの「事実性」に疑問をはさんではならないというのが、戦後一貫してイスラエル系の勢力が世界に強いてきたことだ。 (ホロコーストをめぐる戦い)

 アウシュビッツで大量虐殺が行われたという話は「正史」であり、ナチスドイツの重大犯罪だが、具体的にどこでいつ何人殺されたか、犯罪捜査に不可欠な確定的な物的証拠がまったくない(証言や、本物かどうか今一つわからない写真などしかない)。ドイツの86歳の知的な女性ウルスラ・ハーバーベック(Ursula Haverbeck)は、そのように言っている。彼女は昨年、物的証拠があるのなら教えてほしいとドイツの政府や裁判所、ユダヤ人団体など関係各方面に問い合わせ、ウェブサイトまで立ち上げたが、どこからも何の返事もなかった。その結果をふまえて彼女は、証拠がない以上、ホロコーストはなかったと考えざるを得ないと述べている。この発言ゆえに、彼女は何度も起訴され、有罪判決を受けている。 (イスラエルとの闘いの熾烈化)

 日本やドイツの「戦争犯罪」は、もし根拠が薄かったとしても、日独がそれを丸飲みしないかぎり、国際的に許されることがない。この構図を利用して、イスラエルは、ドイツだけでなく、かつてナチスに甘い態度をとった全欧州を相手に、イスラエルが絶対善で欧州が絶対悪だという理屈を展開し、イスラエルの不正入植地を批判しようとする欧州に対抗している。この構図に加えて、欧州で「イスラムテロ」が起きるたびに、欧州を「反イスラエル親パレスチナ」から「親イスラエル反イスラム」に再転換しようとするプロパガンダと脅しの嵐が起きる。 (ドイツの軍事再台頭)

 複雑な歴史とプロパガンダの政治戦争をイスラエルとの間で続けている欧州(EU)は、戦い方も複雑だ。欧州でハーバーベックのように、ホロコーストが物的証拠を欠いていることに疑問を持つ人が増えても不思議でないが、欧州諸国の政府は、そのような動きを決して認めない。そうでなく逆に、ホロコーストの「史実性」を全部丸飲みして認め、ハーバーベックのような「否定論者」を何度も裁判にかけて有罪を言い渡し、ホロコーストに関してイスラエルにとって120%の「良い子」として振る舞った上で、ホロコーストとパレスチナ問題を切り離し、パレスチナ問題でイスラエルへの制裁を強めている。

 なぜこの話を延々と書いたかというと、パリでテロが起きる直前、ハーバーベックらホロコースト否定論者に対し、相次いで有罪判決が出されていたからだ。ドイツのハンブルグの裁判所は、パリでテロが起きる半日前の11月13日昼前、ハーバーベックにホロコースト否定(反乱扇動)の罪で10カ月の禁固刑を言い渡した。 (Ursula Haverbeck handed 10-month jail sentence for denying the Holocaust)

 その3日前の11月10日には、EUの人権裁判所が、フランスのコメディアンであるデュードネ・エムバラエムバラに対し、フランスの裁判所が下した一審の有罪判決を支持する判決を行っている。デュードネは、03年に自分の寸劇の中でパレスチナ人を弾圧するイスラエルの不法な入植者をナチスにたとえて批判したところ、イスラエル右派から猛反撃を受けて大喧嘩になり、その延長でホロコーストの史実性に疑問を呈する寸劇を続けている。彼は今年1月のパリのテロ後、イスラム教徒を不当に風刺する雑誌社やユダヤ商店でテロを行った犯人を擁護する方向の発言を行い、差別発言(反乱扇動)の罪で仏裁判所で有罪になった。今回のEUの裁判所は上告審として、このフランスでの判決を支持した。 (European court upholds Dieudonne's incitement conviction) (Top European court rules against French comic Dieudonne's in free speech case) (テロ戦争を再燃させる)

 ハーバーベックとデュードネという、2人のホロコースト懐疑論者に対し、欧州の当局が相次いで有罪判決を出した直後、パリでISISがテロを起こし、それを機に欧州の言論を「反イスラエル親パレスチナ」から「親イスラエル反イスラム」に転じさせようとする動きが起きている。これを私なりに解釈すると、2つの判決は、欧州(EU)の当局が、ホロコースト問題とパレスチナ問題を峻別する態度を明確化するために下したものであり、峻別した後、パレスチナ問題でイスラエルを経済制裁(入植地製品へのラベル義務化)する流れの始まりだった。この流れを阻止するため、イスラエル系の勢力がISISを動かしてパリで再びテロをさせた可能性がある。フランス政府は、イスラエルからの非難を受け流しつつ、パレスチナ問題でのイスラエル制裁を強めようとするEUの主導役だった。 (イスラエル支配を脱したい欧州)

 欧州が今後もずっとホロコーストを、人々による疑問の表明を禁止する言論制限事項として残すかどうかは疑問だ。11月13日の判決でハーバーベックが有罪とされた行為は、今春、ドイツの公共放送である第1テレビ(ダス・エルステ)のインタビューに対しハーバーベックがホロコーストの史実性を否定する発言を行い、これがテレビで放映されたため「犯罪行為」とされた。ドイツの上層部は、一方でハーバーベックの発言をテレビで広く流し、独国民が「そうだよね。おかしいよね」と思うように仕向けつつ、他方でハーバーベックを有罪にしている。もしかするとEUは、いずれイスラエル系の勢力が人道上の罪や不正を暴かれて弱体化したら、ホロコーストの史実性に対して人々が健全な疑念を抱くことを容認していくつもりかもしれない(かなり先のことだろうが)。 (Holocaust Challenged for the First Time Ever on German TV)

 米国の親イスラエル団体の一つである「アイン・ランド協会」は最近、中東の人々を難民として欧州に流入させるドイツなどでの市民運動を主導し、アラブ諸国から欧州への難民の流入を手伝う市民活動家を養成している。同協会はもともと、米国のユダヤ系思想家だった故アイン・ランドの思想を広めるための組織だが、ランド自身や、今の同協会の上層部は、強くイスラエルを支持してきた。同協会は、イスラムテロはイスラム教自体の中に原因があると主張するイスラム敵視の団体だ。 (US Ayn Rand Institute Promoting Muslim Migration to Germany) ("Fluchthelfer.in" made by US-Think Tank)

 米国の著名な投資家でユダヤ系のジョージ・ソロスが運営する団体も、中東から欧州に難民を流入させる手助けをしており、EUに対し、もっと多くの難民を受け入れろと求めている。いずれの動きも、親イスラエル勢力が、欧州を、キリスト教徒とイスラム教徒の対立が激化し、テロが頻発する地域に仕立てようとする運動に見える。ソロスは最近、矛先をロシア敵視から欧州敵視に広げている。 (Soros Admits Involvement In Migrant Crisis: `National Borders Are The Obstacle') (Hungarian Prime Minister accuses billionaire investor George Soros of trying to undermine Europe by supporting refugees travelling from the Middle East) (George Soros' Next Color Revolution: Europe)

 これらの動きは、イスラエルによる活動というより、この40年、イスラエルを過激な方向に押しやってきた「米国のイスラエル右派」による画策だ。イスラエルにとっては、多極化の中で欧州と協調的にやっていく国家存続の道を失わせるものであり、長期的に見て自滅的だ。何度も書いてきたように、米国のイスラエル右派の中には「ネオコン」など「親イスラエルのふりをした反イスラエル」がたくさん混じっている。ISISに欧州でテロをやらせること自体、長期的にはイスラエルの利益にならない。 (ユダヤロビーの敗北) (イスラエルとロスチャイルドの百年戦争)
スポンサーサイト

この記事へのコメント

トラックバック

URL :

プロフィール

yoiko00

Author:yoiko00
これでよいのか日本

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
全記事表示リンク
訪問者カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
リンク
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR