政府資産めぐる不都合な事実 温存される官僚の天下り利権


政府資産めぐる不都合な事実 温存される官僚の天下り利権

2013.10.31

ZaKZaK連載:「日本」の解き方の転載です。



 「国の財務書類」のバランスシート(貸借対照表)には、財政当局にとって不都合な事実が書かれている。2012年3月末現在のバランスシートは負債総額1088兆円、そして資産総額629兆円とあるのだ。

 実は、財務省で日本国のバランスシートを初めて作成したのは筆者だ。借金が大きいことを主張し、財政再建の重要性を唱えてきた主計局では、資産総額が明らかになることには反対で、筆者が国のバランスシートを実際に作ってから公表されるまでに10年程度の時間を要した。

 IMF(国際通貨基金)などの国際機関では、国の負債の大きさに言及するとき、資産を引いたネット債務で見るのが普通だ。資産を無視して負債だけを見るのは適切ではない。

 しかも日本の場合、資産の中身が問題だ。現預金18兆円、有価証券98兆円、貸付金143兆円、運用寄託金111兆円、出資金59兆円と合計428兆円も金融資産がある。「運用寄託金」は年金資産だからまだいいとしても、「有価証券」は外国為替資金特別会計で為替介入した結果としてできた米国債を中心とした資産で、「貸付金」と「出資金」はいわゆる特殊法人等への資金提供だ。

 そもそも、変動相場制をとる国では、これほど大きな外為資金を持たない。政府が為替に介入するのは好ましくないというのが国際的な統一見解だ。また、いわゆる特殊法人等は官僚の天下り先として問題になっており、先進国でこれほど広範な政府の「子会社」を持っている国もない。

 ところで、財政当局は1000兆円もの負債を抱えていると、金利が上昇したときの利払費が大変になるという。ならば、資産を処分して負債を圧縮すればいいではないか。会社や家計では当たり前の話だ。

 貸付金と出資金は、いわゆる特殊法人等を民営化すれば処分できるのだが、日本では天下り先確保のために民営化は頓挫している。その一方で、財政危機だといって資産の処分を回避して増税する。これでは国民を苦しめる一方で、官僚は天下り先を確保するということになってしまう。

 国の資産処分は財政危機に陥った国ならどこでもやっていることだ。それをやらないというのなら、日本は財政危機とはいえないだろう。

 政府資産を処分すべきというと、官僚側は「有効活用しよう」と反論する。天下りなどの利権を手放したくないからだが、有効利用といって、増税キャンペーンにも「活用」するのだからあきれてしまう。

 それは、外為資産の運用を民間金融機関に委託するというものだ。これは民間金融機関にとって「大型公共事業」になり、年間数百億円の利益になる。そういえば、テレビなどで必死に増税を訴える金融機関系エコノミストが多かったが、まさかこうした見返りがあったわけではあるまい。

 政府資産の活用など考えずに、できるだけ処分して債務を軽くすべきだ。外為資産を含む政府資産の実態は、筆者の近著「日本は世界1位の政府資産大国」(講談社)に詳しく書いてある。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)


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