国際的に見た産業経済主体と金融経済主体 《今後の世界動向を規定する対立》 下

晴耕雨読より転載

国際的に見た産業経済主体と金融経済主体 《今後の世界動向を規定する対立》 下」  世界経済を認識する基礎

デフレに対する産業経済主体と金融経済主体の論理 《今後の世界動向を規定する対立》 中から続きます。

● 国際的に見た産業経済主体と金融経済主体

産業経済主体が資本化しないで済む余剰通貨を多く保有するようになると、系列会社に対する貸し付けや株式投資などの金融取引での運用益を考えるようになり、金融経済主体的価値観を持つようになる。

(M&Aや国際的企業提携にも、産業経済主体の金融経済主体的価値観という側面が見られる)

産業経済主体のなかに経済価値観の二分化が起き、いわゆる大企業が金融経済主体的価値観を持つようになると、国民経済が金融価値観的な動きへと変容していく。

英国の産業革命すなわち「近代経済システム」の端緒が、国際金融(商業)経済主体による産業経済主体形成にあったことは重要な視点である。

その意味で、日本は、80年代に「近代経済システム」を完成させたとも言える。

金融的収益は、外部国民経済から得たものでない限り、経済主体間の単なる通貨の移転でしかない。

国内取引で銀行が利益を拡大すれば、その分産業経済主体が利益を減らしているということである。

銀行が国内の産業経済主体からいくら貸し出し利息を得ようとも、国民経済的な通貨的“富”は増加しないし、国民経済内の経済主体同士で株式や土地を取り引きしてどんなに利益を上げようとも、国民経済的な通貨的“富”は増加しないのである。

国民経済内での金融取引は、ゼロサムなのである。


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金融取引で実のある利益を上げるためには、近代化をめざしながら通貨不足状態にある発展途上国か、確実な返済が期待できる通貨不足の先進国に国際貸し出しを行うしかない。

しかし、日本が「金融資本主義的国民経済」をめざして、唯一の真なる利益源である国際金融に挑戦しても、米国・英国・フランスの国際金融経済主体に勝利できるどころか伍すことさえできない。

ハードカレンシーとは言え国際基軸通貨ではない日本円と国際金融活動については幼稚園児並みの経験と能力しかない金融機関のペアで国際金融活動の道を進んだとしても、かつてならいざ知らず、これから成功することは幸か不幸か絶対にないのである。

まず、国際貸し出しを行ってきちんと債権を回収するためには、借り入れた国民経済が、かつての日本と同じように、「労働価値」を上昇させることを通じて余剰財を生産できるようになり、それが輸出の増加にきちんと結びつくようにしなければならない。

その輸出増加を受け入れるのは、かつての米国のように、貸し出した国民経済の“義務”でもある。

そして、それは、貸し出した国民経済の産業経済主体の衰退を招き、“義務”の履行を出来にくくする。

現在進行形のアルゼンチン・グアテマラ・ブラジルの通貨危機は、この論理が現象したものである。

次に、国際的に貸し付けた通貨をきちんと回収するためには、貸し出し先の国家運営にまで首を突っ込まなければならない。

これは、軍事力を含む国家の対外活動力そのものが問われることである。

(貸し付け返済を不能にしてしまうような経済政策を採る統治者の首をすげ替えることまでしなければならないし、国民の恨みも買わなければならない)

また、数百年から数千年間にわたって蓄積してきた国際金融のノウハウとネットワークを持つ他の国民経済の金融経済主体には勝つことができないどころか、いいカモにされてしまうだけである。

(90年代を通じて日本からどれだけの通貨的“富”が流出したか、そして、自己責任であるとは言え、今まさに対外投資に振り向けられていた通貨的“富”がずるずると減少していく状況にあることを考えればわかることである)


国際金融活動で成功を収めることができない日本は、否応なく、「産業資本主義的国民経済」として緩やかに持続的に成長(資本増加)していくしかないのである。

最後に、国民経済内の金融取引がゼロサムであると同様に、世界の金融取引もゼロサムであることを言っておきたい。

国内が経済主体間の通貨の移転でしかないのと同じように、国民経済間の通貨の移転でしかないからである。

余剰通貨が特定の国民経済に偏って存在するようになれば、その間での金融取引で収益を上げることはできるが、それ以外の国民経済との金融取引では収益を上げにくくなる。

米国の「バブル崩壊」で、日本の国際金融取引の利益源?であった対米証券投資も危ういものになってきた。

世界は、先進諸国の労働成果財受け入れ(輸入)増加余力が減少していることで、国際貸し出しもスムーズに行えない経済構造になっている。

なぜか最強の国民経済と自他共に認めている米国は、4千億ドルもの経常収支赤字を計上していることから、発展途上国と同じ通貨=資本不足に陥っている。

このような状況で国際金融取引を通じて利益を上げることは至難の業である。

世界は、日本を除けば、産業資本力を相対的に衰退させるだではなく国民経済的な余剰通貨(経済主体は保有している)も減らした先進諸国と、通貨=資本不足にありながらそのために借り入れた通貨をきちんと返済できない国際経済条件に置かれている発展途上国という構図になっている。

この問題をどういう智恵で解決しようとするかによって、今後の世界史は大きく変わることになる。
7/3/8
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